[ブルワー,新商品情報]2018.9.16

ビア女の酒場放浪記(48)南国のぽかぽか陽気も詰め込みました「日南麦酒」

宮崎県日南麦酒

宮崎県の南部に位置する日南市。
温暖な気候と美しい海岸線から、かつては新婚旅行の人気エリアであった。

ここに2017年7月、新しいクラフトビール醸造所がオープンした。
それが日南麦酒(にちなんばくしゅ)だ。

工学部出身、焼酎造りからクラフトビールへ

オーナー兼、ブルワーは橋本彰史(はしもとあきふみ)さん。

橋本さんは大阪府に生まれ、宮崎県日南市で育った。
もともとビールが苦手なほうであったが、たまたまスーパーで手にしたサミュエルアダムスのボストンラガーを飲み、その豊かな香りに衝撃を受けた。
いままで飲んでいたビールは、百数種類あるビールの一つでしかないことを知った。

さらに銀座にある居酒屋「八蛮(はちばん)」で、店の一角を区切って狭いスペースでビールを醸造しているところ遭遇する。
大きな設備がなくてもビールを自分で造ることができると知った橋本さんは、7年ほど前から独学でビール醸造の仕組みを学ぶようになる。

実は、明治10年創業の「櫻乃峰酒造」の代表取締役で、自身も焼酎造りに携わる橋本さん。
酵母や温度管理、発酵についての理解も早かった。

酒類製造免許取得にあたっては、島根県の「石見麦酒」と鹿児島県の「城山ブルワリー」で研修を受けた。

とはいえ、いざビール造りとなると困難も多かった。
「工学部の大学を卒業しているので、機械は得意なんですよ。煮沸糖化釜や発酵タンクなどの設備はほとんど自作しました。そちらは問題なく稼働したのですが、購入した機械が思うように動作しなくて。
それに今でも書類の作成に時間が取られます。
一人でやっているので、やることが多すぎて大変です。」
と言っても、大好きなビール造りにじっくりと向き合う橋本さんの目は輝いていた。

日南市の自然を表現したビールを造りたい

研究者であり職人でもある橋本さんは、新しいビールの開発にも意欲的だ。
シーズナルビールや、委託醸造を受けてのオリジナルビール造りも行っている。

「小規模だからこそ、どんどんチャレンジすることができるんです」
と橋本さん。

この日は、鹿児島市のビアバー「Dolphin Industry(ドルフィンインダストリー)」と共同でオリジナルビールを造っていた。
鹿児島県産のマンゴーを使ったヘイジーIPAだ。
1ヶ月後に完成品を飲ませてもらったが、マンゴーのトロピカルな甘みとホップのシトラスのような爽やかさが好バランスで、飲む手が止まらなくなった。

「地元のおじいちゃんたちに飲んでもらいたいと造り始めたのですが、今ではお年寄りよりも女性を中心とした若者に人気ですね。
でも地元に愛されるビールを造りたいという気持ちは変わりません。
日南市に近い副原料を使い、日南の自然を表現したビールを造りたいと思っています」

最後に日南市の良いことを伺った。
「海岸線には奇岩やサーフスポット、イースター島公認のモアイ像のある公園があり、街には飫肥城と城下町、山には美しく整った坂元棚田があります。
人も自然ものんびりと温厚なところがよいところですね」
そう言う橋本さんも、ちょっぴり恥ずかしが屋やで、ほんわかとしている。

日南麦酒の定番4種類

日南麦酒では4種類の定番ビールを造っている。

左から順に
≪パネスズエール≫
鹿児島県曽於市の柚子の皮をたっぷりと使用した「半端ねー柚子エール」。(2018年W杯以前からのネーミングです)柚子の香りと味わいが存分に感じられる。
アルコール度数:5.0%
原材料:大麦麦芽(カナダ製造)、小麦麦芽、小麦、ゆずピール、ホップ、コリアンダーシード

≪ベルジャンホワイト≫
爽やかでスパイシーなベルジャンホワイトに、オレンジマーマレードを加えより一層オレンジの濃縮された華やかな風味を引き立てている。
アルコール度数:5.5%
原材料:大麦麦芽(カナダ製造)、小麦麦芽、オーツ麦、砂糖、オレンジマーマレード、ホップ、コリアンダーシード、オレンジピール

≪恋ヶ浦IPA≫
年間を通し高波が来るサーフスポット恋ヶ浦をイメージしたビール。押し寄せる波のようにホップのアロマとフレーバーが押し寄せる。ホップはカスケード、コロンバス、シトラ、シムコ、チヌークの5種類を使用。
アルコール度数:7.0%
原材料:麦麦芽(カナダ製造)、ホップ、緑茶

≪梅ヶ浜Hop Burst≫
サーフスポットと奇岩群で知られる梅ヶ浜をイメージしたビール。煮沸終了直後にホップを大量に投入。弾けるようなホップのアロマとフレーバーが楽しめる。
アルコール度数:6.5%
原材料:大麦麦芽、ホップ、緑茶

日南の魅力を詰め込んだ小さな醸造所のビール。
ネット通販も開始になったので、お試しあれ。

【日南麦酒株式会社】
住所:宮崎県日南市吾田東1丁目1-37
WEB: http://nichinan-beer.com/

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この記事を書いたひと

コウゴ アヤコ

ビアジャーナリスト

1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。
ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた「旅ール(タビール)」をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして雑誌『ビール王国』、海外生活情報誌『ドイツニュースダイジェスト』など様々なメディアで執筆。『ビールの図鑑』『クラフトビールの図鑑』(マイナビ)、『極上のビールが飲める120店』(エンターブレイン)など。

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