[ビアバー,ブルワー]2019.5.2

西池袋 SNARK LIQUIDWORKS ~ドリンクローカルの実現へ~

西池袋エリアは、かつて「池袋モンパルナス」という芸術文化活動が栄えた地域。アトリエ村が多数あり、芸術家が暮らし、活動の拠点としていました。その西池袋に、約半世紀前に建てられた複合施設「西池袋マート」。当時は、西池袋の台所として賑わっていましたが、近年は廃墟の様な状態でした。2019年2月に複合施設「NishiikeMart」として生まれ変わり、2019年4月21日(日)に、ブルワリー&パブ「SNARK LIQUIDWORKS」がグランドオープンしました。その魅力をお伝えします。

SNARK LIQUIDWORKS

「SNARK LIQUIDWORKS」のある複合施設「NishiikeMart」は、JR池袋駅西口から徒歩約12分、有楽町線 要町駅から徒歩3~4分の距離。要町駅からは、谷端川緑道に沿って歩くと、迷わずたどり着きます。複合施設「NishiikeMart」の歴史を感じさせる建物上部には「西池袋マート」の看板、店舗入口に「SNARK LIQUIDWORKS」のロゴが目印です。

NishiikeMart外観、入口にSNARK LIQUIDWORKSのロゴが見える

ブリューパブ

店内に入ると、木材を活かした壁から温かい印象、絵や小物から芸術の雰囲気を感じます。入口から少し進んだ右手には、カウンター席とテーブル席(4人掛けテーブルが3つ)があります。入口から直進した奥のソファー席は、ラジオブースとして収録などに使われています。グランドオープン日には、タップ整備が間に合っておらず、簡易サーバーによるビール提供でした。タップ整備後は、カウンター下部の空冷式サーバーから、タップスタンド経由でビールを提供する予定とのことです。カウンター後ろのガラス越しには、醸造設備が良く見えるので、ビールが造られた設備を見ながら味わうことが出来ます。カウンター横がキッチンになっており、スパイスを活かした料理を提供されます。

(左)カウンター席とガラス越しに見える醸造設備、(右)テーブル席

ブルワリー

カウンター後ろは、醸造スペース。醸造設備は、アメリカ「Portland Kettle Works」社製のマッシュタン(糖化槽)とボイルケトル(煮沸槽)、ホットリカータンク(貯湯タンク)、発酵タンク5基、ブライトタンク(熟成タンク)2基などを中心としたものです。ボイラーや温度管理の設備も収められております。都内のマイクロブルワリーとしては、広めの醸造スペースですが、銀色のタンクが所狭しと立ち並ぶさ様は壮観です。

(左奥)ボイラーなど、(左)ボイルケトル、(右)マッシュタン

(左)ブライトタンク、(中央)発酵タンク、(右下)ホップバック装置

本格的に醸造を開始すれば、樽詰めするケグ(ビール樽)の数も多くなります。そのため、大きなプレハブ冷蔵庫があり、多数のケグの保管が可能となっています。また、ケグ(ビール樽)を洗浄する装置もあり、洗浄作業効率化という面でも、良い初期設備投資をされている印象。建物外には、グリコールチラー(温度管理用の冷却装置・熱交換器)、別棟には、麦芽粉砕装置が設置されています。醸造工程のスタートである、麦芽粉砕は別棟で行い、その後のマッシング(糖化)以降の工程は、醸造スペースに粉砕した麦芽を移送して行わる流れです。

(左)広々としたプレハブ冷蔵庫、(右)ケグ洗浄機

NishiikeMartを拠点に、ドリンクローカルの実現へ

ブルワー「藤浦 一理」氏

ビール醸造は、「藤浦 一理」氏にて行われます。「藤浦 一理」氏は、アメリカ在住中の1998年、アメリカ一のホームブルーイング賞「American Homebrewer of the year」を、受賞したブルワー。2012年6月、代々木にクラフトビール専門店「Watering Hole(ウォータリングホール)」を開店。(運営:Tharsis Ridge Brewing Company 、代表:「筒井 美千子」氏、「藤浦 一理」氏)。その後、ブルワリーとパブを開くための場所を長年探しておりました。今回、「NishiikeMart」のリノベーション事業を行った「株式会社シーナタウン」との出逢いが、ブルワリー&パブ「SNARK LIQUIDWORKS」の誕生につながりました。「藤浦 一理」氏が好きなビアスタイルを主とし、ブリティッシュおよびアメリカンなスタイルのビールを醸造する予定です。ブルワリーのロゴマークは、「藤浦 一理」氏の家紋。ブルワリー名のSNARKはルイス・キャロルの小説から、LIQUIDWORKSはビール以外の酒類も作る想定があり、命名したとのことです。

(左)SNARK LIQUIDWORKSのロゴマーク、(右)藤浦 一理 氏

ドリンクローカルの追及と、地域がはぐくんできた歴史を発信する拠点

アメリカのクラフトビール文化で、大切なことの1つとして「ドリンクローカル」があります。「ドリンクローカル」とは、クラフトビールがその土地・地域に根ざすこと。「藤浦 一理」氏は、「SNARK LIQUIDWORKS」により、芸術文化の歴史のあるこの土地で、地域に根ざしたビールをつくり、その土地で活躍する人々に提供します。そして、文化として定着することを目指されます。

「株式会社シーナタウン」は、椎名町を拠点に、地域に根ざしたまちづくりを行う会社。『日常の価値、再編』を基本理念とし、『この町で、事業を続けたい』『この町で、何かを始めたい』という想いを持つ人と、『建物を想いのある人に貸したい』という大家さんを繋ぎ、地域に根ざした事業を生み出すサポートしています。「西池袋マート」から「NishiikeMart」へのリノベーション事業には、建物の大家さんの『私は楽しいことが大好き、またここを笑顔が集まる場所にしてほしい!』という想いも含まれています。そして、芸術文化のある地域の歴史を発信し、アーティストやクリエイターにスポットライトが当たる場所にすることを、目指されています。

「藤浦 一理」氏と「株式会社シーナタウン」の想いが1つになったのが、複合施設「NishiikeMart」。今後も、それぞれの想いの実現に向かい、ともに邁進されます。

株式会社シーナタウンのグランドオープン時の紹介スライドより抜粋

SNARK LIQUIDWORKSのクラフトビールを楽しもう

グランドオープン日には、1stビール「#001 No Comment」がお披露目されました。スタイルは、American Pale Ale。外観は、明るい琥珀色(光の加減で、薄黄色にも見える)。少し弱めのモルトの香り、そして、ホップ由来の柑橘系の香り。口に含むと、その風味が爽やかに広がります。苦味は、強めではっきり感じますが、後には残らない印象。ホップは、シムコー、センテニアル、イクアノット使用との事。ABV(アルコール度数)5.5%。2ndビール以降も、順次リリースされていく予定です。

#001 No Comment

「SNARK LIQUIDWORKS」は西池袋という土地・地域に根ざし、「ドリンクローカル」の実現を目指すブルワリーです。クラフトビールは、芸術(アート)と技術(テクノロジー)が融合した素晴らしい飲み物。是非、複合施設「NishiikeMart」を訪れ、芸術文化に触れ、アーティストやクリエイターの想いを感じながら、美味しいビールを味わってみてはいかがでしょうか。

この記事が、素敵なビールとの出逢いに役立てれば幸いです。


■SNARK LIQUIDWORKS

WEBサイト:
http://snarkliquidworks.com/
FACEBOOK:
https://www.facebook.com/Snark.Liquidworks/

■NishiikeMart(西池袋マート)

WEBサイト:
http://nishiikemart.com/
FACEBOOK:
https://www.facebook.com/nishiikemart/

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

Atsushi Taguchi(田口 篤史)

ビアジャーナリスト/ビアライター

ビール大好き!ビールを求めドイツやベルギーを中心にヨーロッパをよく旅していました。
世界にも日本国内にも、素敵なビールはまだまだたくさんありますので、巡りたいところは尽きません。
ビールの素晴らしさ、楽しさを多くの人に伝えていきたいと思います。
Enjoy!Beer!

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