[テイスティング,ビアバー,ブルワー]2021.10.17

きっかけは沖縄祈りの伝統行事「綱引き」!古代米もみ殻使用の浮島ブルーイング仲村渠ウィートX

1本のビールには造られた土地の文化、そして歴史や伝統までをも入れ込むことができる。そう思わせてくれるクラフトビールが、沖縄にもあります。

浮島ブルーイングが醸造する「仲村渠(なかんだかり)ウィートX」

沖縄県南部にある地、仲村渠(なかんだかり)で収穫した古代米のもみ殻を使用した、小麦麦芽のエールビールです。

浮島ブルーイング

画像提供:浮島ブルーイング


グラスに口を近づけるとふわりと漂うは、シトラホップの爽やかな柑橘香。味わいは優しく、余韻には柔らかな酸味。スッキリとしており、何杯でも飲みたくなるような1本です。

黄金色に美しく透き通った仲村渠ウィートXですが、そこには沖縄の地域文化と歴史、そしてそこで暮らす人々の想いが溶け込んでいます。知ればさらに舌の上で沖縄が広がるであろう、仲村渠ウィートXの物語をご紹介すべく、浮島ブルーイングのオーナー由利さんと、スタッフの大城さんにお話をお伺いしました。
浮島ブルーイング

きっかけは綱引き! 仲村渠ウィートX誕生ストーリー

ーーまずは仲村渠ウィートX醸造のきっかけを教えてください

由利さん:仲村渠ウィートXの名前の由来になっている仲村渠は、湧き水が豊富であり、沖縄の稲作発祥伝説がある地。その仲村渠に古くから伝わる「祈りの伝統行事」である仲村渠の綱引きが、仲村渠ウィートX誕生のきっかけとなりました。

ーー綱引きがきっかけとは……一体どういうことでしょうか?

由利さん:仲村渠の綱引きでは、大量の藁を集め約50mにも及ぶ大きな綱を編みます。

仲村渠 綱引き

画像提供:なんじょうデジタルアーカイブ


しかし現在沖縄には水田がほとんど残っておらず、綱引き用の藁を域外から持ってくる必要がありました。そんな中2017年に「100%仲村渠産の藁で綱引きの綱を作りたい!」という想いを抱いた人々によって「仲村渠稲作会」が発足されたのです。

自分は地域づくりの仕事もしているのですが、その中でこの仲村渠の水田復活に関わるようになり、田植えや収穫などをお手伝いさせていただくようになりました。仲村渠での水田復活と、綱引きという地域文化の保存継承、そしてこの地の歴史や人々の営みへの感謝をビールを通じて伝えていければ、ということで仲村渠で収穫されたお米のもみ殻を使用した仲村渠ウィートXを造りました。

仲村渠

画像提供:浮島ブルーイング


ーー綱引きへの熱い想いが、仲村渠の稲作復活、そして仲村渠ウィートXの誕生へと繋がっていったのですね。実際に、仲村渠ではどのような稲作を行っているのでしょうか。

由利さん:沖縄ではその気候から、年に2回程お米を収穫することができるのですが(6~7月に一度目、11月~12月に2度目)、田植えや収穫時には、地域の人々たちや興味ある人々が手伝いに集まってきます。

仲村渠

画像提供:浮島ブルーイング


完全無農薬で、昔ながらの道具を使い人の手で行われる仲村渠の稲作。手植えの田植え、鎌での稲刈り、足ふみ脱穀機での脱穀と大変な作業が続きますが、その中で地域の和がだんだんと醸されていきます。

大城さん:浮島ブルーイングのメンバーも、ここ数年お手伝いに行っています。自分は今年初めて稲刈りに参加させてもらったのですが、集中しすぎて鎌で手を切ってしまい、思わず「血ぃーゴーゴーでどぅまんぎたー!(血がすっごい出てびっくりしたー!)」と叫んでしまいました。

ーーそれは大変でしたね……でもそうやって地域の人々の手で育て上げられた稲のもみ殻で仲村渠ウィートXは出来上がっているのですね。

土地のにおいをビールにつける

ーー収穫したお米のもみ殻を仲村渠ウィートXではどのように使用しているのでしょうか?

由利さん:一部は糖化のタイミングで投入し、残りは麦汁のろ過のタイミングで使用しています。層になったもみ殻の中を何度も循環させることで、よりクリアな味わいになるんです。また、もみ殻の持っている香り、言い換えれば仲村渠の土地のにおいがビールへとついていきます。

浮島ブルーイング

画像提供:浮島ブルーイング


ーービールに土地のにおいをつける……素敵ですね!ラベルにもこだわりを感じるのですが、ここにも何か込められた想いのようなものがあるのでしょうか?

由利さん:ラベルは、このビール醸造のきっかけとなった綱引きの綱と、麦を組み合わせデザインしています。

浮島ブルーイング

画像提供:浮島ブルーイング

ーー目でも仲村渠の文化を感じられるようになっているのですね!最後に仲村渠ウィートXについて、一言お願いいたします。

由利さん:是非このビールを飲んでいただいて、仲村渠という小さな集落で行われている綱引きを含めて、人々の営みに想いを馳せてもらえたら嬉しいなと思います。

仲村渠 綱引き

画像提供:なんじょうデジタルアーカイブ

ビールを通じ、見知らぬ土地の文化を知る

1本のビールは、時に各地の歴史や文化と出会うきっかけを与えてくれます。そのビールを飲まなかったのならば、ずっと知ることがなかったかもしれないものたち。舌を通じて身体に取り込んだそれらは、深く脳に刻み込まれるから不思議です。

浮島ブルーイング

画像提供:浮島ブルーイング


沖縄の独特で色鮮やかな文化や、ゆるやかで豊かな営み。それらを仲村渠ウィートXで感じてみてはいかがでしょうか。

浮島ブルーイングHP

クラフトビールビールルッぱらかなえ沖縄浮島ブルーイング
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この記事を書いたひと

ルッぱらかなえ(小林加苗)

ビアジャーナリスト

ビールに心臓を捧げよ!
お酒をこよなく愛する、さすらいのクラフトビールライター(現在は沖縄在住)。
『クラフトビールは骨まで愛する』をモットーに活動中。
造り手の想いやビールが生まれた土壌をとことん調べ尽くし、存分に味わい、そして飲み終わった後はラベルや王冠をアクセサリーにしてコレクションしています。
記事執筆の他、クラフトビール関連の小説執筆、クラフトビール定期配送サービスオトモニのSNS運用(twitter中の人)も行っています。
居酒屋店長の経験を活かし、子供と楽しむおうち居酒屋も提案中!

■執筆歴■
日本文化の入口マガジン 和樂web
https://intojapanwaraku.com/author/beer-berry-kanae/
キャンプと登山のアウトドアメディア .HYAKKEI
https://hyakkei.me/articles-author/rupparakanae/
お酒の失敗談をまとめたエッセイ お酒道中膝栗毛
https://note.com/papikoro/m/mf45db53b0fd1

■instagram■
ビールラベルアート工作垢
https://www.instagram.com/beerkana_beerart/
ビアログ
https://www.instagram.com/kanaekobayashi1128/
■メディア出演■
日刊ゲンダイ

過去執筆まとめ
https://beerbelly-kanae.com/

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