[コラム]2021.11.9

アラブ首長国連邦(UAE)でのビールの楽しみ方~世界誰得ビール紀行~

世界のどこでも楽しまれている親しみやすいアルコール飲料、それがビール!

日本であまり馴染みのない国ではどのようにビールが飲まれているのか、ブルワリーがどんな想いでそれぞれの土地でビールを造っているのか。

コロナ禍で世界の国々への往来が制限されている今こそ、思いを馳せてみるのはいかがでしょうか?

中央アジアや中東・アフリカを中心にブルワリーやビアパブ巡りをしてきた筆者が、それぞれの国のビール文化、ブルワリーの想いについて「世界誰得ビール紀行」と題して、連載形式でお伝えしていきます。

初回はイスラム国家である、「アラブ首長国連邦(以下、UAE)」のビール事情をレポートしていきます。

UAEのアルコール事情

UAE地図

UAEはアブダビ、ドバイ等7つの首長国からなる連邦国家です。中心の首長国であるドバイは、砂漠に高層ビルが立ち並ぶ近代都市として知られています。

「アラブの石油王」のイメージに反してUAEでは経済面で石油のみに依存せず、貿易拠点として世界中から人・モノ・金が集まっています。

UAEはその他中東諸国同様、イスラム教を国教としている国です。

のっけから記事の趣旨を否定するようですが、イスラム教では飲酒が禁じられているため、国内にブルワリー等の醸造施設は存在しておらず、ビールなどの酒類はすべて輸入に頼っています。ただし、普通のスーパーマーケットやコンビニではアルコール飲料や、同様にイスラム教の戒律で禁じられている豚肉は購入できません。

African + EasternやMMI(Maritime Mercantile International)等、国から許可を得たリカーショップで購入して自宅で飲むか、ライセンスを得たバーやレストランが入っている高級ホテル内でしかビールを楽しむことはできません。(イスラム法に厳格なシャルジャ等、酒類が一切流通していない首長国もありますのでご注意ください)

ドバイ、アブダビの2首長国では非イスラム教徒であっても、購入、飲酒をする側も有料の「リカーパーミット(酒類購入許可証)」の取得が求められ、公共の場での泥酔行為は厳しく処罰されます。

Alcohol licence

ドバイのアルコールライセンス

下の写真は、ウンム・アル=カイワイン首長国にある、UAE国内有数の大型リカーショップです。ビールの取扱い種類の豊富さ、免税であることから、近隣の首長国から大勢の人が買い出しに訪れています。しかしこのビール好きの天国を楽しむ為には、決して低くないハードルがあります。それは、ドバイやアブダビからの行き帰りでイスラム法に厳格な首長国シャルジャを通り抜ける必要があるということです。同首長国ではアルコール飲料の販売や消費が禁止されており、違法行為となります。リカーショップを出た車を尾行し、シャルジャに入ったところで軽く衝突、「アルコールの存在を警察にばらされたくなければ金をよこせ」と脅されるといった事件も過去に起きていたそうなので要注意。

Umm al quwain barracuda

ウンム・アル=カイワイン首長国のリカーショップの様子

UAEで飲むことができるビール

ここまでの情報だと、「UAEは制約が厳しい」と感じられるかと思いますが、そもそもサウジアラビアやクウェート等の中東諸国では、酒類の提供、販売を一切禁じている国がほとんどです。そこで、UAE周辺国に派遣されている兵士や駐在のビジネスパーソン等、クラフトビール好きは余暇にUAEを訪れ、居住国の規制から離れてビールを楽しんでいます。

このように、アルコール飲料を取り扱うことができるのは、厳しい規制をクリアしたライセンス保有企業に限られていることから、UAE国内市場に流入するブルワリー、銘柄は限られており、タップで飲むことができるビールは大別して以下になります。

・アサヒビール「スーパードライ」、キリンビール「一番搾り」

・アンハイザー・ブッシュ・インベブ社扱いのベルギービール(「ステラアルトワ」、「ヒューガルデン」等)

・ハイネケン「Heineken」

・ブリュードック「Punk IPA」、ラグニタス「IPA」、ローグ「Dead Guy Ale」

UAEでもっとも見かけるブランドはハイネケンで、どの店でも定番として置かれています。

さらに、UAEはアイスランド、ノルウェーと並び世界で最もビールの価格が高い国の一つです。どんな銘柄でも568mlのUKパイント1杯で50ディルハム = 約1,500円が相場です。

ただし、17:00 – 19:00等、早い時間や特定の曜日にハッピーアワーが設定されている店舗も多く、時間帯によってはプロモーション価格で楽しむことも可能です。

ドバイでおすすめのビアバー/レストラン

実際に筆者が足を運んだおすすめのビアバー/レストランをご紹介します。

1.Black Tap Craft Burgers & Shakes Dubai

UAE内に複数店舗あり、イラク、バーレーンにも出店しているビアバーです。

バーベキューソースで味付けされたプルドポークのハンバーガーや、インスタ映えが狙える色彩豊かな「CRAZY SHAKES」(パフェ)も有名です。

JBR(ジュメイラ・ビーチ・レジデンス)にあるRIXOS PREMIUM店は欧米から来たホップヘッズで賑わっており、ブリュードッグ「Punk IPA」をはじめとする各銘柄、ラグニタス「 IPA」, ブルックリン「Brooklyn Lager」等をオンタップで楽しむことができます。ボトルも充実しているので、各ブルワリーの限定ビールを発見できたらラッキー!

Black tap

Black Tap Craft Burgers & Shakes Dubai
https://blacktap.com/
住所:The walk, JBR,Dubai
電話番号:+971 4 399 9076

2.Belgian Beer Cafe

ベルギービールを楽しみたいのであれば、ドバイ、アブダビ、他首長国で多店舗展開中のBelgian Beer Cafeがおすすめです。

写真のFestival cityの店舗では、ドバイ・クリーク(湾岸)を眺めながら、テラス席でビールを楽しむことができます。

レフブロンド、レフブリューン、ヒューガルデン、ステラアルトワをドラフトで飲むことができ、ボトルではデリリウムトレメンス等のヒューグ醸造所のビールや、ベルビュークリーク等が置いてあります。

料理のおすすめは、鍋一杯に盛られたベルギー名物のムール貝。

ビール蒸しや白ワイン蒸しに代表する定番フレーバーだけでなく、スパイシーなカレー味やケイジャン風味など、多彩な味つけが選べてビールが進みます。

Belgian cafe

Belgian Beer Cafe
https://www.dubaifestivalcityhotels.com/belgiancafe
住所:Dubai Festival City, Crowne Plaza, Dubai
電話番号:+971 4 701 1127

3.Trophy room

Fairmont Hotel内のスポーツバーで、サッカーのワールドカップやオリンピック等ビッグイベントが無くても毎日放送されている各種スポーツの観戦客で賑わっています。

ホテルの裏手には「Punk IPA」のプラスチックの空ケグが大量に置かれていることからもわかる通り、UAE内で最も「Punk IPA」の回転が早いビアバーの一つで、常に状態の良いビールが楽しめます。

Torophyroom2

Trophy room
住所:Sheikh Zayed Road, Dubai
電話番号:+971 555 509 492

4.京(Miyako)

ホテル「Hyatt Regency Dubai」内に古くからある日本食レストランで、在住日本人の憩いの場所。豚肉料理も楽しめます。

定番ビールはキリンの「一番搾り」。サーバーの洗浄にも非常に気を遣っており、ハイクオリティーな料理と一緒にビールを味わうことができます。

京(Miyako)

住所:Al Khaleej Road, Hyatt Regency Hotel, Dubai

電話番号:+971 4 209 6911

最後に

あまり公に語られることのない、UAEのビール事情についてお伝えしました。

近年UAEでは、外国人の飲酒が認められる等(それまでは「本当は合法でないが黙認」というスタンス)、徐々にアルコール文化に対する考え方に変化が見られています。とはいえ、イスラム教を国教としている都合上、国内醸造といった未来にはまだまだ高いハードルがありそうです。

ただし、史実として古代エジプトではピラミッド建設に従事する労働者にビールが配給されていたり、古代メソポタミア文明において醸造の記録が残されていたり、中東地域でビールが飲まれていたという文化背景は存在していました。今日の状況は「イスラム教ではコーランで飲酒が禁止されているから」という事情に尽きます。

ビールは「コミュニケーションのお酒」という一面がありますが、我々が夜な夜な酒場で盛り上がっているように、ムスリム(イスラム教徒)達にも気の置けない友人同士でゆっくりシーシャをくゆらせながら語らいあう、という楽しみがあります。

ビールを愛している読者のみなさまにはつらい環境ですが、現地を訪れた際は、中東ならではの特別な文化に思いを馳せながら、レストランやホテルでビールを楽しんでみるのはいかがでしょうか。

 

UAEアラブ首長国連邦ドバイ世界のビール事情
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この記事を書いたひと

杉村 瞬

ビアジャーナリスト

社会人になって初めて飲んだベルギービールに衝撃を受け、
ホップ爆弾なIPAから優しいESBまで、干したパイントグラスは数知れず。

中東某国に駐在中の2年間には深刻なクラフトビール不足に見舞われ、
まだ見ぬブルワリーを求めて、ケニアからギリシャの島々、トルクメニスタンや
ベラルーシまで変わった国々を飛び回っていました。

保守的で引っ込み思案だった自分の世界を変えてくれたビールの良さを
伝道して、新しい世界を広げるべく夜な夜な酒場で活動中。

最近はノンアルコール、ローアルコールカテゴリのビールにも興味有。

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