[イベント]2023.9.25

理想実現への第1歩。「ソラチエースバースデーフェス2023-SORACHI NIGHT-」で掴んだ手応え

今年も9月5日にサッポロビールが品種開発・登録をしたホップ「ソラチエース」を祝うイベント「ソラチエースバースデーフェス2023-SORACHI NIGHT-」が開催された。

2019年から毎年行われている誕生祭。イベントを終えて「サッポロ SORACHI 1984(以下、SORACHI 1984)」ブリューイングデザイナーの新井健司さんに今年のイベントを振り返ってもらった。

成功の秘訣は丁寧なコミュニケーション

今年の会場は、JR東京駅からほど近い「GASTRO-PUB COOPERS 丸の内二丁目店」。「SORACHI 1984」はもちろん「サッポロ生ビール 黒ラベル」や「ヱビスマイスター」など色々なビールが味わえるお店だ。

「GASTRO-PUB COOPERS 丸の内二丁目店」の外観。

今回も新井さんはイベントに向けて様々な会場を視察で回った。その中で「会場の大きさが良かったですし、何よりも『SORACHI 1984』を販売していただいているお店と協力して、今後につながるような仕掛けをつくれる点が大きかったです」と会場選びの決め手を話す。

今年で5回目となる誕生祭。毎年、会場を変えて開催してきた。環境が変わるため、イベントを成功させるにはスタッフとの連携が重要になってくる。今年の夏も新井さんは、イベントまでに何度も会場に足を運び、店舗やイベントスタッフと打ち合わせを重ねる日々を送った。

打ち合わせの様子。「トラブルなく終えるのに関係者との丁寧なコミュニケーションを意識しています。毎回同じメンバーにお願いしているので、大きな問題なくやりやすかったですね」

さらに今年の誕生祭直前には、北海道のJR札幌駅構内に「SORACHI 1984」の樽生ビールが飲めるコンセプトバー「BEER STAND SORACHI」が期間限定でオープン。新井さんも現地を訪れ忙しい日々を過ごした。

「前から帰宅時に軽く一杯飲めるビアスタンドがあったらいいなと思っていました。今回、『ソラチエース』が生まれた北海道で実現できたことは素直に嬉しかったです。色々な条件もあり、誕生祭とタイミングが重なりましたが、『やるしかない』という感じでした」

イベント1か月前は慌ただしい日々を送ることになった新井さん。丁寧なコミュニケーションと気力で乗り切り、当日は大きなトラブルはなくイベントは大成功となった。

リハーサルの様子。オンライン配信もあるので、流れだけではなく、カメラワークも入念にチェックしていく。複数台のカメラを使用して臨場感あるライブを配信している。

同じ出演者でも参加型の内容に進化したコンテンツ

「ソラチエースバースデーフェス2023-SORACHI NIGHT-」のテーマは「冒険しよう」。新井さんはどんなところにチャレンジしていたのだろうか。

「2019年の時は、リアル開催でしたがメディア向けの発表会と店舗でのトークでした。今回、初めてお客様と一緒に盛り上がることにチャレンジしました」

初めてゲストと一緒に楽しむ「参加共有型」にチャレンジした新井さん。そのため、コンテンツはあえて安心して提供できるものを選んだと言う。

「昨年と同じ出演者なので見た目の新しさは感じにくかったかもしれません。ただ、内容は進化させることができたと思っています。私は、新しいコンテンツが重要なのではなく、常に進化していくことが大事だと信じています。」

画面には映っていなかったかもしれないが、書道パフォーマンスでは、ゲストは間近で観ることができたし、アルプス音楽団のライブに参加できる工夫がされていた。

確かに出演者は同じでも内容はゲストが楽しめる内容に変わり、何よりも会場にいた人たちが屈託のない笑顔で楽しんでいる光景が印象的だった。

常に新しいものに変えて提供するのではなく、既存のものを進化させる。「ビールに新しい風を吹き込む際に、『単にビールの新商品を出せばいいのか』という議論にも通じますね」と新井さんは例えながら振り返ってくれた。

ゲストと一緒に祝い、楽しむ形にチャレンジ。スタッフ、出演者の努力により会場の盛り上がり方は凄かった!

ファンとともに制限のない形でリアルに祝えた

リアルで一緒に祝うことができた今年の誕生祭。企画をする楽しさと同時に「プレッシャーも大きかったので、無事に終えられてほっとしている」と新井さん。

ゲストとともに祝う形は、「想像以上に盛り上がることができました。ライブ配信後の打ち上げも盛り上がって、翌日は久しぶりに二日酔いになりました(笑)」と大きな手応えを感じたようだ。

オンラインで視聴した人達からも「これまでよりも面白かった」「年々進化していて、現場の熱狂度合いが伝わってきて感動した」「現場にいたかった!」と大きな反響があり、画面越しでも新しい試みにかける熱量は伝わったと感じたと言う。

今年も「SORACHI 1984」のファンである「SORACHI MEMBERS」が運営をサポート。イベントを成功させるうえで、こうした縁の下の力持ちがいるのも大きい。

来年は記念イヤー。熱量を高めて多くの人を巻き込んだ誕生祭の実現を夢見て

大きな手応えをつかんだ誕生祭。来年はもっと大きな会場で多くのファンと祝いたくなったのではないだろうか。

「やりたいですね。あの熱量のままで大きくしていくのは決して簡単なことではありませんが、もっと多くのファンに届けたいですね」

今年は初めての形式のため、ゲストはあえて「SORACHI 1984」に関係した人達を招待する形に絞った。

「来年以降は、ビールファンに一緒に盛り上がる形や内容も考えていきたいですね。そのためには会場や費用、様々な課題をクリアしないといけない。何よりも今年の熱狂をさらに高めるには普通のビールイベントでは生み出せないと感じています」

東京ドームのような大きな会場で開催して、多くの人を集める方法もあると言うが、「理想は全国各地でソラチエースの誕生日を祝ってもらえる状態をつくる『コト』が大事」だと言う。

これを現実化する可能性があるのが「SORACHI BASE」の試みと言う。

「SORACHI BASE」は、「SORACHI 1984」に共感し、サッポロビールとともにブランドを育成する飲食店を認定したもので2023年4月からスタートした。

「自主的にバースデーを祝っていただいている料飲店様もありました。とても嬉しかったです。この流れを強めて、毎年9月5日は日本全国の「SORACHI BASE」でソラチエースの誕生日を祝うイベントが開催され、お店に行けば一緒に盛り上がれる。そんな世界がつくれたら理想ですね」

どんな建て付けで取り組むことになるのか。「ここが知恵の絞りどころであり、このチャレンジこそ新しい冒険になりますね」と来年に向けて考えていきたいと語る。

2024年はソラチエース誕生40周年、そして「SORACHI 1984」発売5周年の記念イヤーとなる。まだ実現していない生まれ故郷北海道でのイベントは実現するのだろうか。

「何かしらの仕掛けをしていきたい」

そう語る新井さん。来年に向けての冒険が始まっている。

きっと新井さんの中には来年の構想が描かれていると思う。次はどんな展開を見せてくれるのだろうか。
SORACHI 1984ソラチエースソラチエースバースデーフェス新井健司

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

こぐねえ(木暮 亮)

ビールコンシェルジュ

『日本にも美味しいビールがたくさんある!』をモットーに応援活動を行っている。実際に現地へ足を運び、ビールの味だけではなく、ブルワーのビールへの想いを聴き、伝えている。飲んだ日本のビールは4000種類以上(もう数え切れません)。また、ビールイベントにてブルワリーのサポート活動にも積極的に参加し、ジャーナリストの立場以外からもビール業界を応援している。

当HPにて、「ブルワリーレポート」「うちの逸品いかがですか?」「Beerに惹かれたものたち」「ビール誕生秘話」「飲める!買える!酒屋さんを巡って」などを連載中。

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