[イベント]2023.11.20

知る人ぞ知るベルギーの穴場的ビアフェス!?「ブラシゴーム 2023」イベントレポート

2023年10月14日から10月15日までの2日間、ベルギー・ワロン地域のリュクサンブール州に位置するマルブアン村にて、ヨーロッパのクラフトビールに特化したビアフェス「Brassigaume 2023, ブラシゴーム 2023」が開催されました。本記事では、マルブアン村の印象や、イベント会場の様子、そして筆者が試飲したビールの一部をピックアップし、ご紹介します! 

画像提供 : ブラシゴーム実行委員会

自然溢れる魅力的な村マルブアン 

マルブアンは人口1000人ほどの小さな村で、普段、観光客等が訪れることは滅多にありません。しかしながら、その景観は美しく、観光客で溢れるブリュッセル、アントワープといった都会の喧騒を忘れさせてくれる魅力的な田園風景が広がります。「ブラシゴーム」はマルブアン村最大の催しの1つで、イベント開催中はベルギー国内のビール愛好家を中心に、毎年多くの人々が最高のクラフトビールを求めてこの村を訪れます。 地元紙によると、22回目の開催となった今年の「ブラシゴーム 2023」には、2日間で約3000人が会場に足を運びました!

出典 : Guidi, Nicolas (2023) Environ 3000 personnes ont dégusté de bonnes bières spéciales au Brassigaume de Marbehan tout le week-end, l’avenir, le 15 octobre 2023, https://www.lavenir.net/regions/luxembourg/2023/10/15/environ-3-000-personnes-ont-deguste-de-bonnes-bieres-speciales-au-brassigaume-de-marbehan-tout-le-week-end-V2DL4JGSZRCNPLVYCGLFD7V7HM/, [2023/11/20 閲覧].

マルブアン駅前に設置されたイベント告知のための看板

村のシンボルの1つであるカトリック教会

一部のビールをご紹介!

今回の「ブラシゴーム 2023」には、ベルギーのほかイギリス、イタリア、スペイン、フランス、ルクセンブルクといったヨーロッパの周辺諸国からイベント実行委員会によって厳選された27のブリュワリーが参加しました。 

まずご紹介するのは、隣国ルクセンブルク南西部の町キーレンにあるブリュワリー「Wait & See, ウェイトアンドシー」から、HAZY – IPA (Hazy IPA)。ここは、今年3月に誕生したばかりの比較的新しいマイクロブリュワリーです!豊かな泡とHazy IPAの特徴である濁りのあるレモンイエロー色をしたこのビールからは、アメリカンホップ由来の濃厚でジューシーなシトラスフレーバーが感じられました!

HAZY – IPA (Hazy IPA) 「Wait & See, ウェイトアンドシー」

次に、スペインのカタルーニャ州に位置する都市ジローナのブリュワリー「LA CALAVERA, ラ・カラヴェーラ」から、Bretternity (Grape saison aged in wine barrels)。白ワイン用の樽の中で長期熟成をおこなった後に、カタルーニャ産のチャレッロ、モスカテル (マスカット)という2つの白ブドウ品種を加えて仕上げられた独創的なサワーエールです。完熟した果実のような濃いオレンジ色をしているこのビールは、長期熟成、副原料のブドウ、さらには野生酵母といった様々な要素が合わさることで、野性味を帯びた複雑な香りや味わい、さらには強い酸味を醸し出す特別な一杯でした!

Bretternity (Grape saison aged in wine barrels) 「LA CALAVERA, ラ・カラヴェーラ」

次に、イタリア北部のピエモンテ州に位置する町カラモンドナーラのブリュワリー「Sagrin, サグリン」からBaciale (Leaf & Lemon peel)。副原料にピエモンテ産のミントと有機栽培のレモンピールが加えられたベルジャンホワイトスタイルのビールです。ミントとレモンピール由来の清涼感溢れる爽やかな香りに、ベルジャンホワイトの特徴である柔らかな酸味とマイルドな苦味が見事に調和した高品質なビールでした!

Baciale (Leaf & Lemon peel) 「Sagrin, サグリン」

最後にご紹介するのは、イギリスのイングランド北部に位置する都市ウェークフィールドのブリュワリー「Tigertops, タイガートップス」のBarly wine (Barly wine)。豊かな泡と輝きのある濃いブラウン色をしたこのビールからは、長期熟成由来のメイプルシロップ、レーズン、さらにはカラメルなどの甘さと適度なほろ苦さを兼ね揃えた濃密な香りが感じられ、口に含むとモルト由来の程よい甘さと旨味が広がり、そして心地よい余韻が長く続く素晴らしい一杯でした!

Barley wine (Barley wine) 「Tigertops, タイガートップス」

おわりに 

日本での知名度はほとんどないものの、20年以上の伝統があるビアフェス「ブラシゴーム」では、ベルギー国内外から厳選された最高のクラフトビールを堪能するとともに、ヨーロッパのクラフトビールシーンの現在について知ることができました!次回は来年の10月中旬頃の開催が予定されています。来年こそは、ブリュッセル、アントワープ等の都市部から足を延ばしてワロン地域特有の田園風景が美しいマルブアン村を訪れ、知られざる最高の一杯を見つけてみては!?

※イベントの詳細、最新情報につきましては、イベント公式サイト(フランス語)、もしくはFacebookをご覧ください。

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

安彦良紀 (Kazuki Abiko)

ビアジャーナリスト/ JSA認定ワインエキスパート/ WSET® Level3

1996年生まれ、福島県出身。ブリュッセル在住。ブリュッセル自由大学(ULB) 博士課程在学中。2023年度日本ビアジャーナリスト協会新人賞受賞。
インスタグラム@bierebelgequejaime114でも、飲んだクラフトビールの記録およびベルギーや他のヨーロッパ諸国で訪れたバーや醸造所の情報を発信中。

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