[イベント]2013.6.15

シーンに合わせたビールの選び方

梅雨です。ふさぎ込むような天気に気が滅入っている人も多いかと思います。でも、ご安心ください。梅雨さえ明ければ夏になります。長期予報では暑い夏になりそうだとのことです。

暑い夏には風呂上りのビールはたまりませんね。冷凍庫からグラスを取出し、キンキンに冷やしたビールを注ぐや否や一気に飲み干す幸せ。想像しただけで皆が川平慈英になってしまいそうです。

でも、実は夏の風呂上がりにはもっといいものがあるのです。速攻で全否定してみたくなりますが、ぐっとこらえて話だけでも聞いてみませんか?実は、ベルギービールを使う方法なのです。「結局はビールを飲むんじゃないか」、確かにそうです。でも、本当に違うのです。

これは渋谷にあるベルギービールバーのマスターに伺った方法です。ベルギービールにはランビックという酸味の多い種類のビールがあります。中でもカンティヨンという銘柄は特に酸っぱいことで知られています。何も知らない人に飲ませたら、罰ゲームかと叱られそうなぐらい強烈な酸味があります。そのカンティヨンをグラスに注ぐのですが、その前にひと手間あります。氷を入れるのです。お風呂上り、パンツ一丁で氷入りのカンティヨンをぐっと飲み干せば、じきに汗がスーッと引いてゆきます。ぜひ今年の夏はお試しくださいね。

ところで、ベルギービールにはいろいろな種類があります。それぞれのシーンにおすすめのビールがありますので、いくつかご紹介いたします。なお、これは私の独断と偏見に凝り固まっておりますのでクレーム等は一切受け付けません。あしからずご了承ください。

まずはプロポーズの時です。デュポン醸造所のボン・ヴーは、もともと上得意様に向けた新年の御挨拶として贈られていたものです。そのラベルには当時の名残でしょうか、「デュポン醸造所より幸福とともに」とフランス語で書かれてあります。手始めに別のビールを好みや料理に合わせて数杯飲んでおき、そろそろお腹も膨れてきたかな、という頃に飲みましょう。アルコール度数が9%以上あり、スパイシーなのに華やかさのあるこのビールはとてもいい気持ちにさせてくれます。その時を狙ってプロポーズしてみましょう。酔いに任せてOKしてもらえることをお祈りします。

万が一、振られてしまった場合でもご安心ください。そんな時にもベルギービールはあなたに寄り添ってくれます。「よし、次に行こう!」そんな風に気持ちを明るく切り替えたい場合はセゾンという種類がおすすめです。セゾンというのは農作業の合間に喉の渇きを潤す為に作られたのが始まりと言われています。そのため、酔っては農作業が出来なくなりますからアルコール度数はあまり高くありません。しかも、農繁期に飲むことを前提に作られているので腐らぬようにホップが多めに使われています。特にルル醸造所のルル・エスティバルはさっぱりとしているのに苦味もあり、夏の通り雨の後のような気持になること間違いなしです。次の恋は隣で黄昏ながらルル・エスティバルを飲んでいる人と始まるかもしれませんよ。

そうは言っても、立ち直れないほどのショックを受けてしまったときはどうしたらいいでしょうか?これには手間も暇もかかります。まず、月に一度しかチャンスはありません。第三木曜日を狙ってベルギーまで行きましょう。実はウェストフレテレンという幻のビールと呼ばれているものがあります。2012年に数量限定で小西酒造さんが輸入してくださったことはありますが、普段は毎月第三木曜日に買いに行かないと手に入れられないと言われているビールです。厳格な修道院で修道士様が醸造を指揮・管理されているため、観光も受け付けてはくれないところです。これをしこたま買い込みましょう。とはいっても一人あたりの買える数は制限されているので、量を買い込む場合にはアルバイトを雇う必要もあります。ついでに言うと、税関では1.5リットルまでは申告が不要ですがご自身の傷心具合によってはきちんと申告をしなくてはいけません。

帰宅後、泥になるまで飲みましょう。このビールはアルコール度数10%超のとろりとした濃厚な味わいが特徴です。そのため、あまり冷やさずゆっくりと飲んでいくことで香りの花が開き、優しくあなたを慰めてくれます。酔いつぶれて涙も枯れる頃には失恋を過去に変えて乗り越えた喜びと、人によっては二日酔いの頭痛がきっと待っているはずです。

最後にご紹介したウェストフレテレンは嬉しいときに飲んだ場合には、幸せいっぱいにもなれるビールです。ぜひ、新たな恋が始まった時に大事な方とともにもう一度、このビールを楽しんでみてください。

(ビアジャーナリストアカデミー2期生 川端ジェーン)

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

川端 ジェーン

ビアジャーナリスト

ベルギービールをこよなく愛しています。笑顔でビールを酌み交わせば世界平和は実現すると考えています。ビールが好きすぎてたまに他人と知人の境目がなくなってしまいます。ビールの美味しいお店で見ず知らずの人に話しかけていたら、それは私かもしれません。
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