タルトフランベはなぜビールに合うのか パン窯から生まれたアルザスの一皿【JBJAChannel】
ビールに愛された皆さまへ。
ある日、思いがけないペアリングに出会いました。
アルザスの名物料理タルトフランベと、ベルギーの濃厚なクリスマスビールです。
合わせたのは、デリリウムクリスマス(略してデリクリ)。
ベルギーのブルワリー Huyghe Brewery が造る冬の季節限定ビールで、ドライフルーツやカラメルを思わせる香りを持つ、アルコール度数10%前後の力強い一本です。
※なぜクリスマスを過ぎてるのにクリスマスビール?という問いについては、「寒い時期に楽しみたいクリスマスビールを飲むのに、クリスマスに飲まなければいけないという法律はない」というお答えでご容赦ください。
タルトフランベは軽やかな料理という印象があります。
そのため爽快なラガーと合わせる料理と思われがちかもしれません。ところが実際に合わせてみると、この濃厚なビールと驚くほどよく合うのです。
軽い料理と重いビールという先入観を、あっさり覆すような相性でした。
なぜこの組み合わせが成立するのか。
そこから改めて、タルトフランベという料理を見直してみることになりました。
パン窯から生まれた料理

タルトフランベ(ドイツ語ではフラムクーヘン)は、フランス東部アルザス地方の料理です。
この料理の起源としてよく語られるのが、パン窯との関係です。
薪窯でパンを焼く場合、火を入れた直後の窯は温度が高すぎてパンを焼くのに適していません。窯の温度が少し落ち着くまで待つ必要があります。
そこでパン職人たちは、薄く伸ばした生地にクリーム、玉ねぎ、ベーコンをのせて窯に入れました。
パンには高すぎる温度でも、薄い生地なら数分で焼き上がる。こうして生まれたのがタルトフランベだと言われています。
アルザス地方の観光機関などでも、この料理は
「パン窯がまだ熱すぎる段階で焼かれた薄い生地料理」
として紹介されています(例:Alsace Tourism Board)。
つまりタルトフランベは、パン職人の作業の中から自然に生まれた料理でした。
フランスでありながらドイツに近い土地
フランスと聞けば、多くの人がまず思い浮かべるのはワインでしょう。
その文化はもちろん尊重されるべきものです。アルザス地方もまた、リースリングなどで知られるワイン産地です。
しかしこの地域は、歴史的にフランスとドイツの間で揺れ動いてきた土地でもあります。
料理や建築、言語などにドイツ的な要素が色濃く残っています。
そのためアルザスにはビールのブルワリーも多く、フランスの中では比較的ビール文化が根付いている地域としても知られています。
例えば、フランスでも広く知られるビールブランドKronenbourgも、このアルザスで生まれました。
もちろんタルトフランベはワインと合わせても美味しい料理でしょう。
けれど、私たちのようにビールを愛する側から見ると、この料理はむしろビールに寄り添う料理として感じられるのです。
薄い生地が生む軽やかさ
タルトフランベの材料はとてもシンプルです。
薄い生地
クリーム
玉ねぎ
ベーコン
しかしこの料理の魅力は、具材だけではありません。
むしろ重要なのは生地の存在です。
タルトフランベの生地はパンのように厚くはなく、非常に薄く伸ばされます。
薪窯の高温で一気に焼かれることで水分が抜け、カリッとしたクリスピーな食感に仕上がります。
軽く歯を立てると、パリッと小気味よい音がして割れ、その後に小麦の香ばしい風味が広がる。
この軽やかな生地が、クリームのコクやベーコンの旨味を受け止めながらも、料理全体を重たくさせない役割を果たしています。
ベーコンの塩味と旨味。
クリームの乳脂肪。
焼けた玉ねぎの甘味。
そして生地の香ばしい小麦の風味。
この料理には
脂・塩・甘味・香ばしさ
という、ビールと相性の良い要素がすべて揃っています。
濃厚なビールとも響き合う理由

ここで最初のペアリングに戻ります。
デリリウムクリスマスのようなベルギーの強いエールは、ドライフルーツやカラメルのニュアンスを持つ濃厚なビールです。
ところがタルトフランベと合わせてみると、その重厚さが料理の味と実にうまく重なります。
ベーコンの塩味はモルトの甘みを引き立て、
焼いた玉ねぎの甘味はビールのカラメル香と調和する。
クリームの脂はアルコールによって心地よく切れていきます。
そしてクリスピーな生地の軽やかさが、料理全体を重くしない。
この構造こそが、さまざまなビールと相性がよい理由なのでしょう。
軽やかなラガーと合わせてもよし。
モルトの効いたビールでもよし。
ベルギーの濃厚なエールとも成立する。
タルトフランベは、特定のスタイルに縛られない懐の深いビールの友なのだと感じました。
KKCBの名物料理として
この料理を、ビールとともに楽しめる場所の一つが、京成小岩クラフトビールKKCBです。
KKCBについては、先週の記事でもご紹介しました。
👉 https://www.jbja.jp/archives/60352
ここではタルトフランベが名物料理の一つとして親しまれています。
店主の池田大輔氏が厳選してお店に並べられた様々なビールとともに味わうタルトフランベ。
軽やかなビールでも、味わい深い濃厚なビールでも、そのどちらにも寄り添う一皿です。
アルザスのパン窯から生まれたこの料理は、今もなお、ビールとともに楽しむ時間を豊かにしてくれます。
タルトフランベは、やはりビールの友なのでしょう。
動画でも楽しくご紹介しています。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。









