[ブルワー]2013.5.31

Cheers!In Guam~ISHII BREWING CO.訪問記2013~ その3 素顔

Cheers!In Guam~ISHII BREWING CO.訪問記2013~ その2 陣容 の続き

 

「ビールを創るにあたって、僕は一切妥協するつもりはありません」。

そう力強く語り、日々、精魂込めてビールを創るToshiさん。仕事を離れたオフの時間は、どのように過ごしているのだろう。気になって尋ねてみると、意外な答えが返ってきた。「トライアスロンの練習をしています。日曜は海で泳ぐことが多いですね。火曜はタモンからランニング、土曜とできる限り平日はトライアスロンバイクで通勤しています」。

Toshiさんは、社会人になって始めたトライアスロンを、アメリカ西海岸サンディエゴのマイクロブルワリーに勤めている頃も継続。トレーニングに励み、レースに参加していた。2001年、日本に帰国し軽井沢に勤務していた頃にはその習慣は場所柄、途絶えていたものの、グアムに来てからは10年振りにトライアスロンに復帰したそうだ。グアムという環境を選んだ一つに「トライアスロンのトレーニングができる」という理由もあったほど。

「ハガニャ湾の1キロほど沖に、アルパット島という無人島があるんです。日曜になると、その島をクロールで目指します。午前中のうちに行くと海が綺麗で、サンゴ礁の中を熱帯魚もいっぱい泳いでいます。島でストレッチをして昼寝してから戻ります。僕以外に島まで泳ぐ奴なんていませんね」とToshiさんは目を細める。

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「ひょっこりひょうたん島」のモデルとも言われる絶好のシュノーケリングスポット、アルパット島。向かいのホテルからカヤックで上陸することもできる。

 

だが、ここグアムでトライアスロンのトレーニングに励むのには別の理由もある。「以前、腰を痛めて思うように体が動かせなくなってしまったことがあるんです。だから、トライアスロンはブルーイングに必要な体力維持の目的を兼ねています」。そう話し、「ケグを運ぶときに痛めるので」と腰に巻いたサポーターも見せてくれた。実は2009年に前職を離れてからトレーニングを再開し、2010年に開業した頃には何と19キロの減量に成功したのだという。

一見醸造と関係なさそうなトライアスロンも、Toshiさんの中ではビールにつながっていた。トライアスロンのトレーニングを別にすれば、オフは穏やかに過ごしている。「オフは極力エネルギーを使わないようにしているんです。ビーチにバーベキューができる場所があってベンチが置かれているんですが、そこがお気に入りで“BAR MINAGOF”と勝手に命名してそこで飲んでます(笑)。家で飲むのもいいですよ。うちからは海、無人島、飛行機、ヤシの木と全部が一望できますから」。

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取材はタモンのバーMac & Martiで、MINAGOF IPAをゆっくり飲みながら。丁度ランニングをしていた店のオーナーがToshiさんに気付き挨拶をしていた。

 

「夜も外出しないし、昔頻繁に通ったゴルフも今はしない」と言うToshiさんに、「ストレスの発散法は?」と聞いてみると、驚きの答えが。「ビールを創ること。それこそが僕にとって精神修養と言いますか、安定剤のようなもので日常なんです。一日の仕事が終わって、発酵が始まったときの音がタンクからブクブク聞こえてくるとホッとします。“イースト(酵母)がビールを育む”という言葉があります。この仕事は、自分ができることを終えたらあとは祈る、つまりイーストに仕えるだけです。The Priest of Yeast、それが僕たちの天職なんです」。師匠がToshiさんの独立時に、「お前、もうHigh Priest of Yeastだよ」と言ってくれたが、自分ではまだまだ未熟だと感じており、就任を辞退しているそうだ。

大好きなビールを創り、大好きな海に囲まれたグアムでの生活。もちろん、楽ばかりではない。むしろ、「前人未到の道で未開拓のエリアだけに、それはあまりにも険し過ぎる」と本人や、それ以上に奥様が言うように艱難辛苦の連続とも言える。では、一体どんな考えで、何に導かれてグアムへやって来たのだろう。続いての項は、これまでの道のりについて記したい。

 

Cheers!In Guam~ISHII BREWING CO.訪問記2013~ その4 軌跡 に続く

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この記事を書いたひと

矢野 竜広

ビアジャーナリスト

東京から鳥取に移住したフリーライター、ビアエッセイスト。
ビール好きが高じて、『ビールの図鑑』(マイナビ)の
執筆に携わり、さらには地ビール会社にも勤務。
ビールがある人生の素晴らしさを迷文で発信している。

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