[ブルワー]2013.6.3

Cheers!In Guam~ISHII BREWING CO.訪問記2013~ その6(最終回) 前途

Cheers!In Guam~ISHII BREWING CO.訪問記2013~ その5 哲学 の続き

 

今年の10月で3周年、4年目を迎えることになるISHII BREWING CO.。将来、どんな場所にたどり着きたいと考えているのだろう。目標を尋ねてみると、「アメリカで後継者を育てること」という答えが返ってきた。

「お金や会社を残すとかではなく、ブランドや後継者を残したいと強く思っています。僕が死んだ後、“メイドイングアムのビールはMINAGOFだ”と誰もが認めてくれるものを残すのが僕らの仕事です」。そして、その魂と技術を受け継ぐのは意欲溢れるローカルの人であって欲しいと願っている。「アメリカで育てられたブルワーがアメリカでブランドと後継者を残す。ただそれだけ。それがサンディエゴで受けた恩を返すこと、だと信じています」。そう語るToshiさんは、できれば若者が目指したがるようなグアムクラフトビール業界を仲間と共に創っていきたいと考えている。それが、アメリカ業界の一翼を担うことでもあるからだ。

話は死生観に及んだ。「僕らが生きている理由は、お金や名声を残すことでも会社を残すことでもなく、次の世代、人を残すことではないか?と僕は思うんです。でも、それはすごく難しい。お金や会社を残すのは簡単ですが、人を残すのは最も大変なことであり、地域や業界にとってはとても重要なこと。軍事と観光だけのグアムに、今後の期待の星となるような製造業を残したい。そのために、僕は永遠に背中を見せ続けないといけないと思っています」。

Toshiさんが日々、力強くも淡々とビールを創り続ける最大のモチベーション。それは、いつの日か、全米でも珍しいクラフトビール不毛の地グアムを、世界最高峰のクラフトビールアイランドにすることと、その人材を育てることだという。数字の目標は後。それが、Stoneの師匠の教えだ。「売上目標や製造量の目標は立てません。“数字のことを考えるより先に目の前の1バッチをしっかり作れ、ビールを店に届けろ、そして目の前の人に思いを語れ!”と師匠に教わりましたから」。

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真剣な眼差しで完成したMINAGOFの清澄度を確認するToshiさん。常に目の前の1バッチを創ることに全力投球だ。

 

夢はもう一つある。ブルワーに必要なあらゆることを包み隠さず教えてくれた、学び舎Stone。Toshiさんと共に学んだ兄弟子はサンディエゴで独立し、Toshiさんはグアムで独立、一緒に働いていた仲間も今年独立する。全員が良きライバルとなった。それは、師匠に対しても同じ。「いつの日か全米のコンペで、師匠の度肝を抜く一杯を創って師匠に勝ちたいですね。そしてサンディエゴにだけは、戻れないボクの代わりに、いつかMINAGOFを送り届けたいと考えています」。

「死ぬまで創り続ける。生涯現役。僕に引退はない」。そう宣言するToshiさんのこと。いつの日か師匠を超える最高の一杯を創る日がやって来るのではないか。僕はそう思った。最後に、Toshiさんが日本の方に向けて発信したメッセージを記して、本連載を締めくくりたい。

「日本のビアバーは一か所で世界の色々な国や地域のビールが飲めて、グアムから見ると贅沢過ぎるくらい恵まれています。しかし、本当に新鮮なローカルビールを飲むために、自らが動いて欲しい。アメリカでもイギリスでもEUでも、いつか必ず創っているその場所で飲んで欲しい。もしMINAGOFが飲みたかったら、3時間半かけてグアムに来ればいいだけです。いつでもお待ちしています」。

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Cheers!In Guam~ISHII BREWING CO.訪問記2013~ 完

★ISHII BREWING CO.のサイトはこちらhttp://www.ishiibrew.com/
MINAGOFが飲めるお店マップも掲載されています。

★本コラムの感想はライターの矢野まで(tatsuhiro1014@hotmail.com)。

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この記事を書いたひと

矢野 竜広

ビアジャーナリスト

東京から鳥取に移住したフリーライター、ビアエッセイスト。
ビール好きが高じて、『ビールの図鑑』(マイナビ)の
執筆に携わり、さらには地ビール会社にも勤務。
ビールがある人生の素晴らしさを迷文で発信している。

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