[イベント]2025.11.5

香りで感じる国産ホップの進化――クラフトビールジャパンホップフェスト2025現地レポート【JBJAChannel】

ビールに愛された皆さまへ。
今日公開のJBJAChannelは、日本産ホップの“いま”と“これから”を伝えるイベントリポートです。

■ ホップの季節、スプリングバレーブルワリー東京にて

2025年10月26日(日)、東京の代官山にあるスプリングバレーブルワリー東京で開催された「クラフトビールジャパンホップフェスト2025」の最終回に参加しました。
全国のブルワリーが日本産ホップや“フレッシュホップ”を使用したビールを出品し、秋の香りとともにホップの魅力を再発見できるイベントです。

秋の冷え込みが感じられる雨の日でしたが、会場は満員御礼。
カップから立ち上る青々とした香りとともに、今年も日本のホップカルチャーの熱が確かに息づいていました。

■ 20種類のホップビールと秋刀魚の共演

当日は、20種類を超えるホップテーマのクラフトビールがずらりと並び、ビールファンのグラスは常に満たされた状態。
使用ホップは国内で生産されたIBUKI、MURAKAMI SEVEN、SORACHI ACE、カスケードなど多彩で、産地やブルワリーによる個性が光りました。
さらに、会場では様々なフードと、秋の味覚・秋刀魚の炭火焼きも登場。香ばしい脂の旨みがホップの爽やかな苦味と見事に調和し、秋らしいペアリングを楽しむことができました。

■ ブルワリーとホップ生産者が語る、香りの裏側

このフェスの魅力は、ブルワーやホップ生産者本人がその場に立ち、ビールを注ぎながら来場者と語り合えること。
今回も全国各地から個性豊かなブルワリーが参加し、長野のヤッホーブルーイング、岩手のGOOD HOPS、千葉のロコビア、京都のスプリングバレーブルワリー京都、神奈川のYellow Mokey Brewingなどが並びました。
トークライブも盛り上がり、造り手の情熱がそのまま香りとして立ち上るような臨場感がありました。

農業の専門用語が飛び交い、深すぎるファーマートークも展開されました

■ 同じIBUKIでも違う――“テロワール”が生み出す香りの差

特に注目を集めていたのが、スプリングバレーブルワリー東京スプリングバレーブルワリー京都の試み。

それぞれフレッシュホップ~最優秀圃場IBUKI~(SVB東京)、フレッシュホップ~与謝野の息吹~(SVB京都)

どちらも同じレシピで醸造し、ホップ品種も同じ「IBUKI」ですが、東京では岩手県産IBUKI、京都では京都・与謝野町産IBUKIを使用。
飲み比べてみると、その香りと味わいに明確な違いがあり、まごうかたなき“テロワール”がホップにも存在することを体感しました。
同じ品種でありながら、土壌・気候で差がつき、香りの印象を変える――これはワインの世界にも通じる奥深い発見です。

■ 利きホップに挑戦!香りで感じる日本のホップ文化

会場では「利きホップ」コーナーも開催され、実際のホップペレットを嗅ぎ比べて品種を当てるという嗅覚の挑戦が行われました。
正解者には会場内で使えるチケットが贈られるということで、参加者はゲームながらも真剣に取り組むことに。
でも、正答率が16%。ビール生産者も全問正解できないとのこと。私も挑戦しましたが、結果は半分の正解。
しかし、ホップの香りの違いを体感しながら「この香りはカスケード?それともSORACHI?」と制限時間30秒で慌てながら嗅ぎ取る、ビール文化を楽しむ上で何より楽しい学びの場でした。

■ 10年目を迎えた日本産ホップの挑戦

クラフトビールジャパンホップフェストは、今年で10回目。
日本各地のホップ生産者とブルワリーをつなぐ貴重な場として、この10年間で確実に“国産ホップのブランド価値”を高めてきました。
世界のホップ市場の中で、日本産ホップがどのように個性を発揮し、存在感を示していくのか。
その歩みをこれからも見続けていきたいと強く感じました。

日本産ホップ推進委員会の公式サイト

■ 終わりに

日本産ホップは、いまなお発展の途上にあります。
しかし、各地で着実に広がる栽培面積と、香りや品質の改良に取り組む生産者、そしてその個性を引き出すブルワリーの存在が、確かな未来を形づくりつつあります。

IBUKIやMURAKAMI SEVENといった国産品種は、すでに海外ホップとは異なる独自の表情を見せ始めています。
それは“追随”ではなく、“独立したホップ文化”を築こうとする日本の挑戦の証でもあります。

テロワールを意識した醸造や地域連携の取り組みが進む中で、日本のホップは次のステージへと向かっている。
香りを感じ、語り、造る――その積み重ねの先に、世界に誇れるジャパニーズホップの時代がやって来るはずです。

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

MJ

ビアジャーナリスト/Youtube JBJA Channelプロデューサー

ビールと昆虫とリコーダーと天然石が大好きです。JBJAではイベントサポートやBJAチューターも楽しんで取り組んでおります。人に寄り添う記事作成を心がけ、JBJA公式動画サイトJBJAchannelではMCを担当しております。
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