[コラム]2017.8.26

唸るほど美味いバイエルンのビールを全国に広めたい! 【Beerに惹かれたものたち 11人目 KOBATSUトレーディング 小林努氏】

小林努氏が代表を務めるKOBATSUトレーディング。現在、日本全国で200を超える取引先をもち、日本各地で彼が輸入するビールが楽しめる。先月、立ち上げから5周年を迎えた。彼が何を思い、バイエルンのビールを提供しているのか。話を聞いてきた。

3つの条件をクリアしたブルワリーしか扱わない!

「1つは『唸るほど美味いこと』です。次が『おかわりしたくなる』。最後が『醸造所のキャラクターが被らないこと』です。これは絶対です」と取り扱うビールへのこだわりについて話す。

2012年に1番初めに取り扱ったのが「プランク醸造所」。今年400周年を迎え、伝統的なドイツビールを家族経営で造っている。次に取り扱ったのは「CREW REPUBLIC」。ここは真逆に新しいチャレンジをしている「クラフト」な醸造所だ。3つ目は「ゲンスタラー醸造所」。ここを選んだ理由は「2社と被らないものと考えたら選択肢はラオホでした」とのこと。

伝統的なプランク醸造所(右)と革新的なCREW REPUBLIC(左)。ドイツビールの今昔を楽しめるのがKOBATSUトレーディングの強みだ

「次はどんなビールを取り扱うのか」と聞かれるという。しかし、新しいビールを次々に輸入するのではなく、自分が自信をもって勧められるものを取り扱うことを信条としている。

もう1つがゲンスタラー醸造所。2011年創業の新しいブルワリーだ。バンベルクの伝統的要素とクラフトビールの要素を融合させたビール造りが特徴。

人生を変えたドイツへの赴任

「以前は17年間半導体の仕事をしていました。2001年、30歳の時に1年間海外研修赴任の機会がありました。希望赴任地はパリだったのですが、ミュンヘンになりました。現地到着初日、現地の上司と晩御飯に行く機会があり、『これがドイツのビールだよ』って飲んだヴァイスビアがものすごく美味しかったんです! 」とドイツビールとの出会いを教えてくれた。

さらにその魅力に惹き込まれる出会いがあった。本場ミュンヘンのオクトーバーフェストである。

「美味しいのはもちろんですが、あの雰囲気を体験して、なんてビールって楽しいんだ!」と強く惹かれていった。それから帰国するまでの半年間、体重のことなど気にせず、美味しいビールをたくさん飲み、思いっきり楽しんだという。

帰国してからも現地での感動が忘れられなかった。

「2年くらい経ちmixiで『ヴァイスビアが飲めるコミュニティを自分で作ろう』と管理人を始めました。日本各地でオフ会も開催し、ビール業界の方とも知り合うようになりました。そうしているうちに自分の中で『いつかビールの仕事ができたらいいなぁ』と漠然と思うようになりました」

そして、転機が訪れる。

「会社経営の流れや仕事へのモチベーションを維持することがだんだんと難しくなってくると同時に『ビールを生業にしたい』という気持ちが強まってきました。そこで『自分は何ができるのだろうかと考えたときに①ビジネス英会話ができること、②ドイツの人とのビジネスでの付き合い方をわかっていること、③日本各地のビアバーとの交流もあること、④なによりもドイツビール愛は誰にも負けない』と至り、2011年3月に会社を早期退職し、同年11月『KOBATSUトレーディング』を立ち上げました」と、ビアバー開業ではなくインポーターとしての道を歩み始めた。

インタビューではバイエルンのビール愛を熱く語ってくれた小林氏。ファンの間では「コバツ」のニックネームで知られている。
オクトーバーフェストの時期には飲食店からの要望に応え、民族衣装をはじめ、グッズの貸し出しも行っている。

良質な商品を届けるために温度管理は不可欠!

インポーターという仕事での苦労と魅力について聞いてみた。「輸送に関することはとても気を遣います。インポーターはブルワリーとお店をつなぐ重要な役割です。良質な状態を維持するには温度管理は絶対です。以前、私が指定した温度設定でコンテナ会社が輸送せず、劣化してしまい大量廃棄したことがありました。これは本当に辛かったです。当社ではリーファーコンテナでの輸送、港から倉庫までも冷蔵機能が付いたトレーラーで輸送し、店舗へも365日クール配送を徹底しています。ドイツ国内輸送も冬場以外はコンテナの電源をオンにして港まで輸送しています。冷蔵管理が出来ない酒販店さんは取引をお断りしています。温度管理の徹底は造り手への敬意であり、飲み手の皆様への誠意なんです。」と話す。

「反対にこの仕事の魅力はお客さんの反応が直に見ることができることですね。取引先のビアバーさんに行って、お客様が「美味しい!」と言ってくれる場面やイベントでうちのビールを知らない人にお薦めして、喜んでくれる姿を見たときに心の底から『この仕事をしていてよかったなぁ』と思います。あと、ファンの方が『KOBATSUさんのところのビールを取り扱って』とお店に言ってくれて、取引が始まるのも嬉しいですね」と話す。

今回、取材協力をしてくださったドイツビールバーBAKU-YAの吉澤雄二オーナーと。10年以上の付き合いになる。BAKU-YAではKOBATSUトレーディングの取り扱いビールを飲むことができる。
吉澤氏がみた小林氏のイメージは「キャラクターでいうとドライホッピングヘレスですかね。伝統と革新の両方を兼ね備えているところが重なります」とのこと。

全都道府県で飲めるようこれからも地道に歩む!

「今後ですか? 47都道府県すべてで取り扱ってもらうことですね。多くの方にバイエルンの美味しいビールを飲んでほしいので、頑張って達成したいです。あとは今年、プランク醸造所が400周年を迎えます。年内には16代目ミヒャエル・プランク氏に来日してもらって、全国各地でパーティーを開催したいと考えています。ブランドをむやみに広げるつもりはないですし、1人でできることをコツコツと続けたいと思います」と展望を語る。

直近では8月30日(水)~9月3日(日)さいたまスーパーアリーナで開催される「けやきひろば秋のビール祭り2017」で飲むことができる。日本のブルワリーにおいてもドイツスタイルを採用しているところは多い。この機会に本場の味をぜひ飲んでみてほしい。

ドイツビールの伝統と革新を大事にする小林氏。今後の活躍も注目していたい。

小林氏がご厚意でKOBATSUトレーディングTシャツをプレゼント。応募方法は記事の最後にあります。

◆KOBATSUトレーディング Data

住所:〒194-0023 東京都町田市旭町2-13-14

FAX:042-633-0586

E-mail:kobatsu@kobatsu.com

Facebook:https://www.facebook.com/kobatsutrading/

◆ドイツビールバー BAKU-YA Data

住所:東京都千代田区鍛冶町1-7-17三新鍛冶町ビル102

電話・FAX:03-3527-1808

E-mail:baku-ya@aioros.ocn.ne.jp

Facebook:https://www.facebook.com/bakuya.kanda/

営業時間:月曜日~金曜日 17:00~27:00 土曜日 17:00~24:00

定休日:日曜日・祝日

★KOBATSUトレーディングTシャツプレゼント

小林氏のご厚意によりMサイズを1名の方にプレゼントいたします。

ご希望の方は氏名、メールアドレス、KOBATSUトレーディングへの応援メッセージを記入のうえ、ryo990990@jbja.jpまでメールを送信してください。締め切りは8月31日(金)です。当選者には9月7日(木)までにメールでご連絡いたします。

【追記】タグでのCREW Republicの表記に誤りがあり、修正いたしました。

CREW RepublicKOBATSUトレーディングゲンスタラー醸造所プランク醸造所小林努氏

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

こぐねえ(木暮 亮)

ビールコンシェルジュ

『日本にも美味しいビールがたくさんある!』をモットーに応援活動を行っている。実際に現地へ足を運び、ビールの味だけではなく、ブルワーのビールへの想いを聴き、伝えている。飲んだ日本のビールは4000種類以上(もう数え切れません)。また、ビールイベントにてブルワリーのサポート活動にも積極的に参加し、ジャーナリストの立場以外からもビール業界を応援している。

当HPにて、「ブルワリーレポート」「うちの逸品いかがですか?」「Beerに惹かれたものたち」「ビール誕生秘話」「飲める!買える!酒屋さんを巡って」などを連載中。

●音声配信アプリstand.fmで、ビールに恋するRadioを配信中
PodcastSpotifyでも聞けます。

【メディア出演】
<TV>
●テレビ朝日「日本人の3割しか知らないこと くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」
●テレビ神奈川「News Link」
<ラジオ>
●TBSラジオ「鈴木聖奈LIFE LAB~○○のおじ様たち~」
●JAPAN FM NETWORK系列「OH!HAPPY MORNING」
<雑誌>
●週刊プレイボーイ(2019年2月11日号、2020年12月28日号、2022年12月12日号、2023年10月9日号) ●DIME(2019年4月号)●GetNavi(2020年2月号) ●週刊朝日(2020年6月12日増大号)●食楽(2020 SUMMER No,116)●週刊大衆(2021年4月19日号、2021年7月12日号、2022年6月20日号)●BRUTUS(944号 2021年8月15日号)●東京人(no.463 2023年3月号)●BRUTUS特別編集 増補改訂版 クラフトビールを語らおう!
<Web>
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