[コラム,ビアバー]2019.3.30

NYビールツアーその2/温故知新

McSorleys Old Ale HouseTaproom No. 307Top Hopsアメリカニューヨークビールツアー

この記事はNYレポートの続きです。その1はこちら。
今回扱う店舗は以下の3店舗。
・McSorley’s Old Ale House
・Taproom No. 307
・Top Hops Beer Shop
前置きが長くなりましたが、夜遅くに到着した私がまだ開いている店舗を探したところ、
初めはここにありつけました。

伝統を守り続ける老舗:McSorley’s Old Ale House

マクソリーズはなんと1854年創業

佇まいからもわかるように初めにご紹介するのは昨今のアメリカンなビールのイメージとは真逆の店舗です。
※独自文化があるので行かれる方はこの投稿を良く読まれることをオススメします。

 

立ち塞ぐ男性は門番…というか、セキュリティです。
店内の前にNYでの夜のお出かけ事情について少し説明致します。

海外で夜に一人で出歩くのは危険なのが通説ですが、NYもメインストリートなら正直普通に歩けます。
確かに路地は街頭も人通りも少なく、悪事を画策している者が潜んでいる可能性もあるでしょうが、
23時くらいなら車もひっきりなしに走っていますし、歩いている人はまだまだいます。
とは言え用心に越したことはありませんが怖がりすぎないでください。
(タイムズスクエア周辺なんて新宿や渋谷の深夜の雰囲気以上にきらびやかです。そのかわり寄付や物乞いの遭遇率も高いですが)

 

毎晩飲み屋やこぎれいなレストランではクラブ仕様になったりDJがプレイしたりと
その表情を変えるのですが、
ニューヨーカーズは女子同士タクシーで店前まで乗り付けてお酒と音楽を楽しんでいる様子。
カップルや男性同士はホテルや最寄り駅から歩いてくるのをよく見かけます。
しかし入り口には99%の確率で屈強なセキュリティの男性が立っています。
どんな大人でもID(パスポートでOK)が必須なので、必ずお忘れなきよう。
英語が話せなくても相当酔っぱらってない限り入店NGとは言われません。
一人ならカウンターが基本。席を自分で確保します。
フードを頼みたい場合はテーブルに通されます。入り口で確認されることが多いので大丈夫。

大統領やジョンレノンも訪れた古き良きパブ風の店で飲む伝統のブリティッシュスタイルビール

マクソリーズも、一見人通りが急に少ない通りにぽつんと立っています。
しかし安心してください。
入り口でパスされると、肩にかけた鞄は下ろして手に持つように言われるのです。

なぜなら店内はビール好きでごった返しているからです。

 

 

 

入店してあなたがすぐすべきことは、自分が滞在できそうなスペースを確保することです。

すれ違うのもやっとのような熱気、そして圧倒的な白人男性たちとの対格差(苦笑)
若い男性、女性客よりも40代のいかにもビール好きそうなおじさま達が多く、
こちらに女性一人で入るのは体力的な意味でオススメしません(!)
とにかくお客さんの勢いがすごすぎて整頓する暇のない紙幣が写真のように箱に投げ入れられていきます。
注文もヒヨドリの鳴き声のように飛び交っているので空いているスペースを探すのもやっと。
また床にはおがくずが撒かれています。しょっちゅうみんなが床にビールをこぼすからですねわかります。
(開店から一度も床を掃除したことがないなんて噂も笑)
店員さんも機械のように動きを止めないので大声で頼まないといけません。
カオスですねそうですね。

「これからビールを運ぶから、おまえたち道をあけるんだ!」と叫ぶあんちゃん(客です)。って何杯持つ気や!

しかしそれだけ殺到してもなお来るべき理由があるビールとは?
注文方法自体は至ってシンプル。「ライト」か「ダーク」しかありません。
5ドル50セントで中ジョッキが2杯来るという変わったシステム。
お札を用意して臨みましょう。
(※推測するに、持ちやすく割られにくいサイズをどうせおかわりされるから一度で多く提供したいのではないかと。飲むと決めたら量は日本人のそれとはケタ違いですから)
一応1杯だけの値段も記載されてますが誰もそんなオーダーしません。粋じゃないのでしょう。

2杯セットの方がお得ですしね…?

「ライト」

「ダーク」

写真がぶれぶれで申し訳ないのですが、暗い店内で静止できなかったのです…
どちらもオリジナルビールでスタイルの厳密な言及も資料も少なく判然としないのですが、
「ライト」は「ブロンドエール」「ビター」「オールドエール」の特徴に近く、
苦みよりは優しいモルトの甘みがふんわり。とにかくキレが良いので何杯でもいけるゴクゴク系。
パブの雰囲気にあったブリティッシュスタイルですね。
しかし、ラガーなのに香りがある「カリフォルニアコモンビール」だと考えている人がいるのも頷けるバランス。
「ダーク」はダークビールですが、「ブラウンエール」「ダークラガー」の中間のよう。
麦芽由来のロースト香はあるのですが強すぎず、やはりキレッキレ。
どちらも泡が非常にリッチですがすぐに消えることもなく、あっという間に飲み干せること請け合い!

隣のおじいちゃんは4杯飲んで颯爽と帰っていきました。渋い。

良質な鮮度である証拠のエンジェルリングもご覧の通り

豪快、圧巻、無愛想

無愛想と思いきや

小さい日本人が一人で必死にオーダーして写真を撮ってるのを見かねたのか、
ぐいぐい飲むのを気に入ってくれたのか 、なんとポストカードをくれました!
無愛想だと思い込んでごめんなさい(笑)

左下に注目

余談ですが、海外でも取材で写真を撮る際は一応必ず断りを入れるのですが、お店の方に拒否されたことは一度もありません。
むしろ「何でそんなこと聞くんだ?好きに撮ってくれよ」と言わんばかりの表情をされます。
それはお客さんでも同じで、飲み屋でカメラを向けると入ってこようとしたり笑顔で手を振る人がかなり多い。
日本とは逆の感性ですよね。こちらまで楽しくなってきます。

使い勝手No.1:Taproom No. 307

対してこちらは現在のアメリカンクラフトビール、オリジナルビール、ピザを中心に料理が楽しめる店舗。
例えるなら淡路町のWIZ CRAFTBEER and FOODさんに近いでしょうか。

平日は深夜2時、金土なら4時までオープン!

NY中に回った店舗は事前に調べて行きましたが、こちらだけは滞在中に現地で発見。
価格帯はミドルレンジですが、朝まで開いていてお手製ピザにありつけるのは貴重!

いつ来ても開いてる?ビールも食事も楽しみたい人向き

さて、照明は薄暗いですがデートにもカジュアルにも使われている様子。
このときは深夜1時くらいの入店でしたが、席はカウンターを中心に6割ほど埋まっていました。
では早速メニューに注目してみましょう。

 

 

薄暗くわかりずらい写真ばかりで本当に申し訳ありません…
グリーンポイント
グリム アーティザナルは別の機会に取り上げます。
左下の写真の上方、黒字にTO GOという文字が見えますか?
TO GOは「持ち帰り」という意味。「テイクアウト」は通じないことはないですが和製英語。
便利なフレーズなので覚えておいて損はありません。
これだけの数がすべて持ち帰り可能とは!
※ただしアメリカではほぼ全州が路上飲酒&喫煙は法律違反。
生ビールの持ち帰りにはグラウラーという専用容器が必要。これもアメリカ文化の象徴。

タップルーム ハウスラガー

折角なのでオリジナルビールを。HPによる説明が興味深いです。

Basic lager, nice alternative to Bud, Stella, etc.

前回バドワイザーステラアルトワについて言及したのはこのため。
大手以外のナイスな選択肢として作られた、との意味。パンクです。
その通りクリーンで王道アメリカンラガーでした。
オリジナルビールはどれもペンシルバニア州で醸造しているようですが、
他の銘柄は打ち抜かれてしまったので次は別のビールをチョイス。

ミルハウス/キルトスピナー

ニューヨーク州はポキプシーにある醸造所「ミルハウス」のスコッチエール。
飲むと体が温まるのでキルトという名を付けた通りしっかりアルコールを残しつつ、
バニラビーンズ、バーボン、コーヒー、キャラメルに包まれる様は温もりさえ感じさせます。

お待ちかね、ピザのお出まし

口コミサイトによれば提供スピードが遅いというコメントがありましたが、他はともかくピザはさすがに仕方ないかと

「トリュフブラータ ピザ」
中央に乗っているのは卵ではありません!チーズです!
ブラータはモッツァレラの中に生クリームが入ったとろっとろ〜で賞味期限が極端に短いチーズ。
それと全面に敷き詰められペストゥソース、トリュフの香りが合わさり食欲が進みます!!
ファビュラス!
小さく前ならえくらいのサイズがあったので、男性一人でも食べきるのは大変かも?
(アメリカでは、食べきれなかった料理を持ち帰り用に包んでくれる店舗もあります。尋ねてみましょう)
他にもケサディーヤやナチョスなどメキシカンの定番、
アメリカンなハンバーガーやサンドイッチ、ステーキやサラダがありました。

因みに…
日本のように「すみません!」と大声で呼ぶのは、アメリカでは失礼な人だと見なされます。
スタッフは巡回しているので、近くを通ったときに目線を合わせるか軽く手を挙げればOK
忙しくてあまりに誰もやって来ない場合だけ呼びにいきましょう。
こちらのホールスタッフも、待っていたら笑顔でやってきてくれました。

買って帰りたいならココ:Top Hops Beer Shop

お店でのオーダーの仕方に終始しましたが、
「じゃあ缶や瓶ビールの専門店はどこ?」とお思いの皆さま、お待たせしました。

角打ちも家飲みにも使える万能店舗!

行くまで分からなかったのですが、アメリカだからといってビールの持ち帰り専門店がそこら中にあるわけではありません。

とは言えアメリカ人だってドイツやアジアのビールを飲みたいときもあります。
そういったラインナップがある場所は限られてきますが、オススメはこちら。

トップホップス ビアショップ」!

やや郊外ですが、端から端まで冷蔵庫。グラウラーもTシャツも売ってる上に、金土なら深夜2時までオープン!
ヨーロッパ、アジア、南米、日本に輸入されているものもそうでないものも、世界中の
銘柄を幅広く扱っています!
下記にHPアドレスも載せたので興味のある方はどうぞ。
親切にも取り扱いがあるボトルビールリストが載っています!!

今話題のコンブチャも置いてました

しかもここ、タップも繋がっているんです!神様ありがとう!

インダストリアルアーツ、バラストポイントは日本にも上陸していますね。ここで衝撃だったのは、右の方に開栓日が書いてあること

コネティカットヴァリー/シャーウッド

コネティカットヴァリーは比較的最近出来た醸造所で、こちらは8%のダブルNE IPA。
濁りはなかったですがまるで桃ジュースのような味わいとドライなフィニッシュでハイアルという絶妙な逸品。

しかしNY中最も私が気に入ったのは「Toppling Goliath(トップリング ゴリアテ)」という醸造所。
ゴリアテは神話に登場する巨人兵。ダヴィデに投擲された石により倒されるのですが
「石が命中しよろけそうなゴリアテ≒酔っぱらっている人」あたりの意味かと。

ドロシーズ ニューワールドラガー

ポンペイ

トップリングゴリアテはアイオワ州で2009年から稼働し始めたのですがどれも高品質で、
Top Hopsでも4タップも繋がっていたのには納得。
この2つは両方定番品。
ドロシーはクリーンでクセの弱いラガー、ポンペイはモザイクホップで桃の香りが出ているジューシィなIPA。
定番ビールが安定しているのは、品質が間違いない証拠!


さらにさらに、他店ですが街で見かけたポスター。これを見るとNYへは最近初上陸だったみたいですが、
世界的なビールレビューサイトratebeerでもベストブリュワリーで世界15位と書いてあります(確かにそうでした)
自然とどの銘柄も90後半〜100点台連発の好評価。
ニューヨーカーたちの期待値の高さが伺えます。
因みにトップホップスratebeerのNYの2018年ベストボトルショップに選出されています。

故きを温ねて新しきを知れば

〜今回の総評〜
NYには独特のファッションセンスに身を包むことに誇りを持つ人がいれば、
街でケバブサンドを売るトルコ系の方もいます。
様々な文化が入り交じり、しかしお互いがその歴史やスタンスに敬意を払っているからこそ、
「あなたのその価値観は自分とは違うけど、素晴らしいと思うよ」
が成り立っている土地。
クラフトビールを店で飲んで帰りたい人もいれば、昔からのなじみの店に顔を出すだけでいい人、
持ち帰って家族で楽しみたい人もいます。

彼らの歴史と伝統を知った上で飲んだクラフトビールの味は、アメリカ開拓の志に触れた気持ちがしました。

次回はあの人気店が登場!その3へ続く

 

McSorley’s Old Ale House
【住所】15 East 7th Street, New York, NY 10003, USA
【HP】https://mcsorleysoldalehouse.nyc/
【OPEN】
月〜土 11:00〜1:00
日 13:00〜1:00

Taproom No. 307
【住所】307 3rd Ave, New York, NY 10010, USA
【HP】http://www.taproom307.com/#anchor-u1146 (音量注意!)
【OPEN】
日〜水 11:00〜2:00
木 11:00〜3:00
金土 11:00〜4:00

Top Hops Beer Shop
【住所】94 ORCHARD ST.,New York, NY 10002, USA
【HP】http://www.tophops.com/
【OPEN】
月〜水 13:00〜24:00
木 13:00〜1:00
金土 12:00〜2:00
日 12:00〜22:00

Toppling Goliath Brewing
【住所】1600 Prosperity Road, Decorah, IA 52101 , USA
【HP】https://www.tgbrews.com/

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1 Dozen(わんだーす)

この記事を書いたひと

1 Dozen(わんだーす)

ビアジャーナリスト/ビアジャッジ/ミュージックコーディネーター

皆様初めまして。1 Dozen(わんだーす)です。
一本のビールとの出会いから人生が狂い、世界中のビールを飲み比べるようになる。
ビール嫌いを克服できた自分と同じように、
ビールが苦手な人をこの世界から救うために活動を決意。
麦とホップと酵母と音楽と狂気を武器に独自の視点で執筆することを誓う。

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