[コラム,テイスティング]2020.3.16

【再実験!!】【買ったらすぐ飲むな!?】ビールが何日で「本来の」味になるのか検証してみた

飲み比べ

「ビールは飲む前に静置した方がいい」論を自己検証した3か月前。

 

(もう少し客観的な意見を聞きたい…)

その願いがビールの神様に届いたのか。
なんと「麦酒大学」様と有志の方々のご協力のもと、さっそく実験を行う機会を得ることができた!!

楽しみにしていた皆様、ぜひご覧いただきたい!

実験のサポートをしてくださった山本祥三氏をはじめ「麦酒大学」の皆様と。改めて心からの謝意をお送りしたい。

↓↓前実験の記事はこちら↓↓
【買ったらすぐ飲むな!?】ビールが何日で「本来の」味になるのか検証してみた
https://www.jbja.jp/archives/28011

 

■「ラガー」と「エール」で試してみた

前回の被験者は私一人。
今回は有志でご参加くださった15名(男女比=9:6)の皆様とともに、
以下の諸条件で実験を行った。


1. ビールは「キリンラガービール 500ml缶」「グランドキリン WHITE ALE 350ml缶」を使用。
製造年月日はそれぞれ全て同一。購入場所も全て同じ日に同じ場所で購入した。

2. 計測時間はT = 3,6,12,24,36,48[時間]。容器はプラカップを使用。

3. 時間毎に30回ほど強く振ってから、冷蔵庫に保管(3℃保管)。
全ての検体を約4分間隔で提供し、同時にティスティング。

4. 注ぎは山本様をはじめとした「麦酒大学」スタッフの皆様にご協力いただいた。
味の変化を極力起こさないようカップを静かに伝わせ、泡も立てず、かつ均等(30ml)に注ぎ分けていただいた。

5. ティスティングシートを用いて3時間前のビールと残りの検体との比較評価を行った。
より変化が見られたと感じたら大きな数字を選択するよう指示するとともに、
別途コメント欄を設けて他に気づいた点を記入していただいた。


実際に使用したティスティングシート。

 

■「24 ~ 36時間 = 1 ~ 1.5日」がボーダーライン

時間毎の各要素を集計、平均したグラフを下記に示す。

3時間静置の検体に対する各検体の味わいの変化

また、各協力者の皆様には「自身が飲んで好ましいと感じた検体」に投票いただいた。
(複数回答可。グラフの★数が多いほど好ましいと感じた方が多い検体)

上記のデータから、導かれた結論は次の通りだ。


◆ラガーは12時間、エールは24時間あたりから好ましいと感じる人が増えた。また、肯定的なコメント(バランスが良い、オフフレーバーが消えた、統一感がある、程よい炭酸感など)が急増した。
←激しく振られることで崩れた香味のバランスがまとまった(いわゆる「落ち着いた」)。

◆オフフレーバーは静置時間が長い検体ほどに気にならない人が増えていった。
←それにより、相対的にモルトやホップアロマ・フレーバーを感じる人も増えていった。逆に、静置時間が長くなるにつれて「香味が落ち着いた」「複雑さがない」という回答も見られた。

◆炭酸の強さは静置時間が増えるほどに強いと感じる人が増えた。
←さらに言えば、48時間になると炭酸の強さからくる「ピリピリ」感を不快に感じるコメントが出始めた。

◆甘味、苦味についてはそれを「肯定的」にとるか、「否定的」にとるかで値が人によってぶれた(心地よい甘味と取るか、べたつくと取るか。明白な苦味と取るか渋いと取るか)ため、グラフに規則性がない。
←特に苦味については評価の簡便化から「苦味(渋味)」と一緒の項目にしたため。但し、各人のコメントから類推するに、苦味については歯茎がキシキシとするような渋味は消えていき、いわゆる舌の上で主に感じる五味としての「苦味」は強くなったと感じる傾向が強いようだ。それにより、静置時間がより短い検体に感じていた甘味は相対的に苦味によって感じにくくなったと思われる。

◆酸味の強さに関しては言及するほどの変化は感じられなかった。

◆36h、48hあたりから、明確な違いを言及するコメントはかなり少なくなった。
←一般的に感知できるレベルとして、多く見積もって「1.5日」静置すれば振られる前に近い状態に戻っていると思われる。


 

今回の実験で面白かったところは、状態が戻るにつれて好ましいという評価が増えたものの、
「静置時間の短いビールの方が好ましい」「48h静置させると苦味や炭酸が強すぎる」という意見もそれなりに見受けられたことだ。

注ぎ手の方々のお言葉を借りるなら、ガス感を抜いて甘味を引き立てる「マイルド注ぎ」や、ガス感を残しシャープなのどごしや苦味を楽しむ「シャープ注ぎ」で好き好きが分かれるようなものだろう。

 

待つほどに楽しい、けれど待たされすぎるのは好きじゃない。
ビールへの恋もなんとワガママなのだろうか?

 

だが、それでいい。
だからこそビールは楽しいのだと私は思う。

 

ぜひ、皆様がより自分好みのビールに出会えることを願って。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

※記事に掲載されている店舗のメニューや営業時間、イベント内容などの情報は予告なしに変更される場合があります。店舗のホームページやイベントの告知ページなどをご確認の上、ご来店・ご来場くださいますようお願い申し上げます。

日本ビアジャーナリスト協会 公式facebookページ

公式facebookページの右上にある「いいね」をポチッとしてくださいね。よろしくお願いします!

05006佐藤 翔平

この記事を書いたひと

佐藤 翔平

フードペアリング インストラクター / ビアジャーナリスト

平成元年生まれ。宮城県出身。岩手で学生時代を過ごす。卒業後、料理の道を選び上京。初めて飲んだ「酸っぱいビール」に感動を覚え、ビールの奥深さにはまっていく。2014年、日本ビアジャーナリスト協会所属の「ビアジャーナリスト」として活動開始。調理経験を活かし、フードペアリングを中心とした記事を「週刊現代」「Get Navi」など各雑誌に掲載し、同アカデミーの講師を務める。2017年、「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」に出演。また、日本地ビール協会公認「シニア・ビアジャッジ」として各種世界ビアコンペでの審査も行う。

■保有資格一覧
日本地ビール協会公認 シニア・ビアジャッジ
同上   公認 ビアコーディネーター
ジャパンビアソムリエ協会公認 ビアソムリエ
日本ソムリエ協会公認 ソムリエ
同上   公認 SAKE DIPLOMA
日本酒匠・サービス研究会公認 唎酒師
同上      公認 焼酎唎酒師
日本ウィスキー文化研究所公認 ウィスキーエキスパート
チーズプロフェッショナル協会公認 コムラード・オブ・チーズ
  同上      公認 チーズプロフェッショナル取得予定(2020年)

■記事・出演など
『日経プラス1 2016年5月7日付』など
『週刊女性 2017年5月23日号』
『SPA! 2017年9月12日号』
『週刊現代 2018年9月22・29日合併号』
『ビール王国 Vol.14』
『Get Navi 2016年8月号・2017年7月号・2017年8月号・2018年11月号』
『講談社 WEB現代ビジネス 2019年12月8日更新 イオンの78円ビール「バーリアル」、ここへきてバカ売れの理由』
『日本マッケイン・フーズ株式会社 ペアリング企画』など

・『くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館』出演
・キリンビール『グランドキリン』特設サイト『マイビアクエスト』内ペアリングを全監修
その他、『ビアジャーナリストアカデミー』をはじめとした各種講師経験多数あり
#調理経験8年 #ビールの記録だけでも3000銘柄以上 #消しゴムはんこも彫れます

このエリアに掲載する広告を募集しています。
詳しくはこちらよりお問い合わせください。

ストップ!20歳未満者の飲酒・飲酒運転。お酒は楽しく適量で。
妊娠中・授乳期の飲酒はやめましょう。