[コラム]2021.9.11

ビール好きに伝えたい!井上尚弥選手とボクシングの魅力!

「まるで暑い日の冷えたビールのようだ! 痛い!」

井上

キンキンに冷えたビール(※写真はイメージです。)

試合の映像を観たファンがそう表現したのは、1989年7月21日、ニュージャージー州アトランティックシティにて行われたマイク・タイソン選手VS. カール・ウィリアムス選手の試合です。
WBA、WBC、IBFの3本のベルトを掛けて、長身のカール・ウィリアムス選手を挑戦者に迎えたその試合、結果は1R93秒、不用意に放たれたウィリアムス選手の左ジャブを交わしカウンターの左フックを浴びせたマイク・タイソン選手のTKO勝利でした。

約32年も前のこの試合の動画を、2020年7月21日に米スポーツ専門局「ESPNリングサイド」がツイッターで公開したところ大きな反響がありました。
そこでこの試合を観たアメリカ人ファンが発したのが
「まるで暑い日の冷えたビールのようだ!痛い!」
という冒頭のコメントです。
「最高!」とか「圧倒的なキレ」、もしかしたらキンキン冷えすぎたビールを飲んで頭がキーンとなった様子を表したのかもしれません。
でも私にとって、他のパンチや技術を解説したコメントより印象に残ったのは事実です。

申し遅れました。
私、この度ビアジャーナリストとしてデビューを迎えた南原卓也と申します。
約19年前に出会ったビールと、そのさらに10年前に出会った格闘技は、私が出会ってから一度も嫌いになることなく愛し続けている2大要素です。
そんなビールと格闘技についての記事で、ビアジャーナリストとしてデビューを飾れることを嬉しく思います。

ボクシングを食わず嫌いしているあなたへ

この記事を目にするぐらいですから、きっとあなたはすでにビールの魅力にどっぷりハマっているに違いありません。
昨今「若者のビール離れ」が叫ばれたり、「クラフトビールがトレンド」と注目されたりしておりますが、私にとってもいつだって「今が一番面白い」と感じるドリンク、それがビールです。

「今が一番面白い」といえば、現在の日本ボクシング界には「日本ボクシング史上最高傑作」と呼ばれる選手がいることをご存知でしょうか?
現WBA世界バンタム級スーパー王者、IBF世界バンタム級王者の井上尚弥選手です。
ボクシングや格闘技に興味はないけど、名前だけは知っているという方も多いかもしれません。
今回、ビールは大好きだけどボクシングは食わず嫌いしているあなたへ伝えたいことがあります。
彼が、さらに高みに登っていく過程をみすみす見逃すなんて、最高の品質、最高の状態で提供された樽生ビールの飲み頃を逸するような勿体ない行為ですよ!

ボクシングを食わず嫌いする理由

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※写真はイメージです。

「ボクシングを食わず嫌い」する理由とはどんな理由でしょう?
私の周りで「ボクシングを食わず嫌い」している方々に話を聞いてみると、

①殴られて痛そう
②流血や失神シーンは観たくない
③野蛮・喧嘩の延長
④不良気質のオラオラ感が苦手
⑤チャンピオンが何人もいてよくわからない など

このような回答が多くありました。

「よく知らない=嫌い」としてしまうことは、「ビール=ピルスナー」と思っている方々がいわゆる「黒ビール」を敬遠する理由と通ずる部分がありそうです。
きっとビール好きなあなたなら、そんな思考の方に出会ったらこう感じるはずです。
「勿体ないな」
それがまさに今の私の感情です。井上選手の試合を観ずしてボクシングを食わず嫌いするのは勿体なさすぎる!
それでは井上選手の魅力を「スタウト」「シュバルツ」「ポーター」「デュンケル」の4つのスタイルに例えてお伝えいたしましょう!

 

井上尚弥という存在 = 【GUINNESS DRAUGHT】(スタウト)

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世界中で支持を得ている【GUINNESS DRAUGHT】の存在感は井上尚弥選手そのもの

「ビール=ピルスナー」と思っている方々に「黒ビールといえば何?」と質問をすると、多くの方から名前の挙がるビールがあります。
【GUINNESS DRAUGHT】です。
「黒ビール=ギネス」と認識している方もいるほど、その知名度は絶大です。

井上選手は海外のボクシングファンからも「MONSTER」と呼ばれ、抜群の知名度を得ている数少ない日本人ボクサーです。
日本人世界王者など歴代の名選手たちも口をそろえて「日本ボクシング史上最高傑作」と認めており、現役世界王者の日本人選手からも別格だと表現される選手は、井上選手以外に聞いたことがありません。

【GUINNESS DRAUGHT】のビアスタイルはご存知「スタウト」。
「スタウト」とは“強い”という意味です。
肉体的にも精神的にも、対戦相手を圧倒的に凌駕する強さが魅力の井上選手。
井上選手の試合は、【GUINNESS DRAUGHT】の「泡のショータイム」のようにあなたの視線を釘づけにすることでしょう。
ボクシング界の 【GUINNESS DRAUGHT】
そう言われてしまってはもう飲みたく、いや、井上選手の試合が観たくなってしまいますよね!

ここからは井上尚弥がバンタム級最強を証明し、世界中が本格的に「MONSTER」を知ることとなったWBSS(World Boxing Super Series)バンタム級トーナメントの3試合を振り返ってみましょう。

 

1回戦 VS. ファン・カルロス・パヤノ = 【COEDO 漆黒 -shikkoku-】(シュバルツ)

※2018年10月7日 横浜アリーナ

この試合の135日前、井上選手は当時10年間負けなしだったWBA世界バンタム級レギュラー王者(当時)ジェイミー・マクドネル選手をわずか112秒でKOして、華々しいバンタム級デビューを飾りました。
WBAバンタム級レギュラー王者として迎えたWBSS1回戦の相手はファン・カルロス・パヤノ選手。
WBAバンタム級ランキング4位(当時)にして、元WBA世界バンタム級スーパー王者という強豪は、デビュー以来、KO負けは一度もありません。
しかし、この一戦で井上選手は再び世界に衝撃を与えます。
井上選手が、過去に一度もKO負けを喫したことがない元WBA世界バンタム級スーパー王者を仕留めるのに要した時間はわずか70秒。
その衝撃映像は海を渡り海外でも大絶賛されました。
ボクシング界で最も権威のある雑誌「ザ・リング」も、「2018年度ノックアウト・オブ・ザ・イヤー」に、この井上選手のパヤノ戦を選出しています。

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ラガービール特有の爽快感が得られる【COEDO 漆黒 -Shikkoku-】

この試合を観てスカッとした私は、初めて【COEDO 漆黒 -Shikkoku-】を飲んだときのことを思い出しました。
「黒ビールは重い」、「黒ビールでは爽快感は得られない」といった固定観念を持っていた私にとって、「黒ビール」の概念を変えてくれたビールです。
当時は「シュバルツ」というビアスタイルのこともよく知りませんでしたが、焙煎したモルトの香りとコク、そして飲んだ後に感じた爽快感。
井上選手の試合と【COEDO 漆黒 -Shikkoku-】は、いつだって私に爽快感と明日への活力を与えてくれる存在です。

 

2回戦 VS.エマニュエル・ロドリゲス = 【TOKYO BLACK】(ポーター)

※2019年5月18日 The SSE Hydro(イギリス・グラスゴー)

無敗の王者同士の対決として実現したこの試合は、戦前より事実上の決勝戦と目されていました。
エマニュエル・ロドリゲス選手が保持する「IBF世界バンタム級王座」と同時に、「ザ・リング王座」も懸けられたこともその注目度を物語っています。
「ザ・リング王座」は、ボクシング界で最も権威のある雑誌「ザ・リング」が “その階級のベストな選手同士の試合”と認定した場合にのみ懸けられるベルトで、一般的な世界王座とは全く別の意味を持つものです。

1R序盤、井上選手のパンチにロドリゲス選手がカウンターを合わせるシーンがありました。
その瞬間、「これまでの相手とひと味違う」と感じたファンも多かったはず。
しかし試合が2Rに入ると、井上選手の独壇場となりました。
左フックで最初のダウンを奪うと、立ち上がるロドリゲス選手のボディへのパンチで2回、計3回のダウンを奪い井上選手の完勝です。
試合を見返してみると、1Rでロドリゲス選手の間合いやタイミングを掴み、2Rできっちり仕留めた圧巻の試合内容でした。
ヨーロッパ中に「MONSTER」井上尚弥の存在を知らしめた瞬間です。

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【TOKYO BLACK】の缶に描かれた3つの月が、井上選手が狙うベルトに見える!?

この試合が行われたイギリスで生まれたビアスタイル「ポーター」。
井上選手の重い“ボディ”はご勘弁ですが、色や見た目とは異なる「ポーター」のライト~ミディアムとやや軽めの“ボディ”はいつでも大歓迎ですよね。
井上選手VS.ロドリゲス選手の試合がイギリスで決まったとき、私の頭に浮かんだビールは【TOKYO BLACK】でした。

【TOKYO BLACK】の缶には合計3つの月が描かれています。
屈強な力士が見上げる空に浮かぶ月は、この日に獲得したIBF世界バンタム級のベルト。
そして残る2つの月は、井上選手が狙うWBCとWBOのベルトに見えるのは私だけでしょうか?
ここまで飽きずに読み進めていただいたあなたは、きっともう井上選手に興味津々ですね?
残り2つのベルトを獲り、井上選手がバンタム級4団体統一王者になる過程を一緒に見届けましょう。

 

決勝戦 VS.ノニト・ドネア = 【ERDINGER Dunkel】(デュンケル)

※2019年11月7日 さいたまスーパーアリーナ

WBSS決勝の相手は過去に4階級(暫定王座を含めれば5階級)で世界王者になっているノニト・ドネア選手です。
WBAバンタム級レギュラー王者である井上選手と、その上位に君臨するWBAバンタム級スーパー王者(当時)のドネア選手による、WBAバンタム級王座の統一戦がWBSS決勝の舞台で実現しました。
トーナメント開始時には「ピークを過ぎた選手」と目されていたドネア選手ですが、自身の適正階級と公言するだけあり、トーナメントを通じて確実にその輝きは増していました。

ドネア選手の強烈な左フックが井上選手の顔面をとらえたのは2ラウンド。
数々の強豪をマットに沈めてきたドネア選手のパンチで、井上選手は自身キャリア初となるカット(裂傷)を経験します。
しかし、ドネア選手のパンチが井上選手にあたえたダメージはカット以上に深刻なものでした。
後に「2ラウンド以降はドネアが2重に見えていた」と語っていますが、井上選手はこのパンチで右目眼窩底骨折の重傷を負っていたのです。
相手が2重に見えるというハンデを序盤から負ってしまった井上選手。
映像をご覧になればわかってもらえると思いますが、試合ではそんな状態で試合を行っていたとはとても想像できない動きを続けています。
結果的には11ラウンドに強烈な左ボディフックにてドネア選手からダウンを奪い、12ラウンド判定にて、WBSS優勝およびWBA世界バンタム級スーパー王座を獲得しています。

「判定の試合はつまらない」
という印象をお持ちのあなたも、試合の映像をご覧になった方はそうは感じていないのではないでしょうか。
その証拠に、「ザ・リング」が毎年発表している年間表彰にて、2019年の「ファイト・オブ・ザ・イヤー(年間最高試合)」にこの一戦を選出しています。
埼玉県で行われたこの一戦は、「ドラマ・イン・サイタマ」と称され、今も世界中のボクシングファンの記憶に深く刻まれています。

この試合後にはもう一つの「ドラマ・イン・サイタマ」が展開されていました。
試合終了後、WBSS優勝のトロフィーを手にした井上選手の前に、ドネア選手が訪ねてあるお願いをしたのです。
「必ず優勝トロフィーを子供たちに見せる」と約束し、家族で来日したドネア選手が「翌朝、子どもたちが目覚めたときに約束を果たすためにトロフィーを見せてあげたいから一晩貸してほしい」というお願いでした。
ドネア選手いわく「恥を捨て、涙を流しながら」井上選手にお願いしたそうですが、井上選手は二つ返事でトロフィーをドネア選手に手渡し、翌朝、トロフィーの前で井上選手へのお礼と祝福のメッセージを送るドネア一家の様子がSNSで公開され話題となりました。
ドネア選手の現役生活を通じて一貫して相手をリスペクトする姿勢は、日本でも多くのファンを獲得しています。

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【ERDINGER Dunkel】 ビールもボクシングも確かな満足感が得られる共通点あり

この世紀の一戦、そしてドネア選手の哀愁、井上選手の男気を目の当たりにして私は 【ERDINGER Dunkel】を思い浮かべました。
重厚感と品を兼ね備えたルックス、チョコレートや少し酸味を感じる香り、焙煎由来の深いコク、小麦ならではの優しい甘味、モコモコとした濃厚な泡、そしてスッキリと爽やかな後味。
そのすべてが絶妙なハーモニーを奏でており、飲む前から飲んだ後まで一貫して確かな満足感を与えてくれるビールです。

 

バンタム級統一に向けて残す相手は2人!

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※写真はイメージです。

「次の井上選手の試合はいつだろう?」
気になってきましたか?
もしかしたら井上尚弥選手の名前につられてこの記事を読んでくれたあなたも、紹介したビールを飲みたくなってくれているかもしれませんね。

残念ながらこの記事が公開された時点で井上選手の次戦は正式発表されていません。
井上選手がバンタム級でターゲットとしている相手は残り2人のみ。
つまり、バンタム級で井上選手の試合が観られるチャンスは残すところあと2戦しかない可能性もあるのです。
早ければ2021年年末に1戦、そして2022年春の1戦で主要4団体のベルト統一を、井上選手は目指しているのです。

世界中からその首を狙われている井上選手の対戦相手として、候補になり得るには、WBCかWBOのベルトを保持していることが条件となります。
2021年8月現在、その黄金のバンタム級戦線を勝ち抜いて生き残る選手は2名。

1人目は2021年8月15日に難敵であるギジェルモ・リゴンドー選手の挑戦を退けた現WBOバンタム級世界王者ジョンリル・カシメロ選手
井上選手を執拗に挑発し続けるその態度に、井上選手も珍しく感情を露わにすることもあり、井上選手が今最も対戦を望んでいる選手です。

2人目はWBSS決勝戦で対峙した現WBC世界バンタム級王者ノニト・ドネア選手
WBSS決勝での敗戦後、井上選手との再戦を目指して、2021年5月30日に同タイトルを獲得しています。
井上選手とはお互いに再戦を約束しています。

奇しくも強打が自慢のフィリピン人王者が2人揃いましたが、どちらにしても目が離せない試合となることは間違いありません。
日本人初の4団体王座統一へ挑む井上選手の挑戦を、食わず嫌いだけでリアルタイムに見届けないことは、ビアスタイルを知らず「ピルスナー以外はビールではない」と飲まず嫌いしていることと同じぐらい勿体ないことですよ。

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この記事を書いたひと

南原 卓也

ビアジャーナリスト/樽生アドバイザー

「今日1日をどう生きれば、より美味いビールが飲めるか?」

こんなことを考えながら毎日生きてます(飲んでます)。

埼玉県にある“日本一小さい市”で生まれ育った男が、飲食店の樽生ビールの品質を上げる仕事、飲食店にビールを卸す仕事を経て、ビールを伝えるビアジャーナリストになりました。

「醸造家がビールを醸造し、ビールの注ぎ手がビールを完成させる。そしてビアジャーナリストがビールを伝える。」
をモットーとして、“美味いビールが飲める環境”や“ビールとコミュニケーション”を追求していきます!

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