一般社団法人 日本ビアジャーナリスト協会

コラム

喧騒のなかでも「命を守る声」を届ける。よなよなエールが挑む、酒場の防災の新常識

仕事終わりの一杯や、友人との賑やかな宴。
私たちが心からリラックスして過ごす「酒場」という空間は、実は防災において独特の難しさを持っています。

活気に満ちた店内ではスタッフの声が通りにくく、さらにお酒が入っていることで、いざという時の避難誘導が伝わりにくいという課題があるのです。

そんな「飲酒時の防災」という死角に光を当てたのが、クラフトビール「よなよなエール」で知られるヤッホーブルーイングです。
彼らが開発したユニークな防災ツール「キコエール」の無償貸し出しが、2月5日から全国の飲食店向けに始まりました。

騒音を突き抜ける「3,500ヘルツ」の魔法

防災用電子メガホン「キコエール」

この「キコエール」は、一見するとお洒落なランタンのような形をした電子メガホンです。
しかし、その中身には驚きの科学的根拠が詰まっています。

酒場のような騒がしい環境では、通常の声は周囲の雑音に消されてしまいがちです。
そこで日本音響研究所などと共同開発されたこのデバイスは、人の声を「3,500ヘルツ〜5,000ヘルツ」という高い周波数成分を持つ声へと変換して出力します。

これは、騒音の中でも耳に届きやすい「突き抜ける音」を再現したもの。
地声で叫ぶのには限界がありますが、キコエールを使えば賑やかな居酒屋やバーでも、スタッフの誘導指示を客席の隅々まで届けることが可能になります。

防災グッズを「奥にしまわない」ためのデザイン

平次はランタンのような照明としても利用可能

もう一つの大きな特徴は、その佇まいです。
多くの防災用品は普段、倉庫の奥にしまわれがちですが、キコエールは平時には「インテリア照明」として店内に馴染むよう設計されています。

「いざという時にどこにあるか分からない」という事態を防ぐため、常に目に見える場所に置いておける。
このデザインこそが、緊急時の迅速な対応を支える鍵となっています。

ヤッホーブルーイングは、自らもビアレストランを運営するなかで「スタッフの声が届きにくい」という現場のリアルな課題に直面してきました。
今回の無償貸し出しプロジェクトは、単に道具を貸し出すだけでなく、全国の飲食店スタッフが「飲酒している方への効果的な声掛け」を体験し、防災を考えるきっかけを作りたいという想いからスタートしています。

お酒を愛するすべての人に、安全な「乾杯」を

防犯セミナー兼体験会の様子

「ビールに味を!人生に幸せを!」を掲げる彼らにとって、楽しい時間を提供することと、その安全を守ることは表裏一体なのでしょう 。

現在は、公式サイトにて日本国内のお酒を提供する飲食店からの応募を受け付けています。
2週間という期間で、スタッフ同士が実際に声掛けを体験し、その感覚を養うことができる取り組みです。

賑やかな笑い声のなかで、もしもの時にも冷静に、そして確実に届く声がある。そんな安心感が、これからの酒場をより温かく、幸せな場所にしてくれるのかもしれません。

今日もどこかの店で、誰かの命を守る準備が静かに、そして力強く始まっています。

 

応募方法

・飲食店様向け「メガホン」お貸し出し受付フォームにて必要事項を記入

・貸し出し可能な店舗:「お酒」を提供している日本国内の飲食店

貸し出しに際しての留意事項

・「メガホン」の貸し出しは1店舗あたり1台までとさせていただきます。
・数量に限りがございますので、ご応募いただいた順番に貸し出しの最終確認をさせていただき、順次発送いたします。
(貸し出し希望タイミングは承っておりません。順番にご連絡いたします。)
・メガホン到着後、店舗内でスタッフの皆さまと声掛けの体験をいただき、2週間以内にご返却をお願いいたします。
・ご返却の際には同梱されている返却用伝票(クロネコヤマト/送料弊社負担)でのご送付をお願いいたします。

よなよなエールキコエールヤッホーブルーイング

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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「ビールの造り手、供じ手」と「消費者」を繋ぐ「伝え手=ビールの応援団」になるべく、そしてビールを普遍的な文化にすべく、活動しています。
現在、ジャーナリズムの概念は多様化しており、文章だけでなく写真や動画、パフォーマンス、イベントの企画など多方面に広がっており、これらを私たちは網羅します。
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