[コラム,注目記事]2025.12.18

災害から命を守る。ヤッホーブルーイングが酒場の防災ガイドライン提供やオリジナル防災用電子メガホン無料貸出実施中!

2025年12月8日青森県東方沖を震源とするマグニチュード7.5の地震で、被害に遭われた方々にこころよりお悔やみを申し上げます。
その後、北海道・三陸沖後発地震注意情報が1道6県の182市町村に発令され、解除にはなった今も、引き続き備えていくべき状況には変わりありません。
それに限らず、もう何十年も日本全国いつどこで大規模地震が起きてもおかしくないと言い続けられており、また、年の瀬に向け、乾燥が続く太平洋沿岸を中心に様々な場所で火事が頻発しています。まさに日本全国誰もが、いつどこでどんな災害に遭遇するかわからないのが現実なのです。

大好きなビールですっかりいい気分になっている酒場で、もし何かあったら……と、皆さんは考えたことがありますか?

盲点だった飲酒中の防災意識や酒場の防災対策


「この度、”お酒好きのための防災プロジェクト”を立ち上げました。お酒を楽しむ時間でも、もしもに備える飲酒者向けの防災計画プロジェクトです、例えば、南海トラフ地震は今後30年以内に60%から90%の確率で発生すると言われています(*1)。国民一人一人の防災意識向上が常に求められている今、クラフトビールを楽しんでいる時にもいつ災害が起きてもおかしくないのです」とヤッホーブルーイング代表取締役社長”てんちょ”こと井手直行さん。

*1 地震調査研究推進本部地震調査委員会による発表

同社の調査(*2)では、お酒を楽しむ20〜60代の男女300名の65.3%が飲酒中の災害を想像したことがなく、また、飲食店の72.5%が防災マニュアルは用意しているものの、災害発生時の安全確保の声かけ対応を想定できていない飲食店は41%、想定していても対応方法が決まっていないと回答したのは38.5%など、その他多数の懸案事項が浮かび上がりました。



これらの結果を北海道文教大学 當瀬規嗣教授の専門協力と、日本音響研究所、備え・防災アドバイザー高荷智也氏の監修の元にを分析した結果、飲酒時にはお酒が脳機能を抑制して、ほろ酔いの状態でも判断力、理解力、運動能力が低下することが認められるため、酒場で災害が発生した場合、利用客が自主的に的確な避難行動を取れるとは限らないという現実が浮き彫りになりました。

北海道文教大学 當瀬規嗣教授


*2 調査結果のさらなる詳細はこちらをご覧ください。

飲酒時の防災対策が遅れている現状を踏まえ、プロジェクトリーダーの河津愛美さん(まるちゃん・同社ごらく課(ブランドプロモーションユニット)所属)が中心となり、”お酒好きのための防災プロジェクト”が立ち上がりました。

左より、備え・防災アドバイザー/BCP策定アドバイザー 高橋智也氏、プロジェクトリーダー 河津愛美(まるちゃん)、日本音響研究所 所長 鈴木 創氏


第一弾のテーマとして「酒場における安全確保の声掛け」を掲げ、浮かび上がった以下の2つの問題点の対策に取り組み、発表しました。

問題①「酒場における適切な安全確保の声かけの方法が分からない」

災害発生の緊急時にどのように的確に声掛けができるのか。そのためには具体的で適切なマニュアルが必要であると導き出し、備え・防災アドバイザー/BCP策定アドバイザー高荷智也氏監修のもと、「酒場のための地震防災ガイドライン」を策定しました。

特筆すべきは、このガイドラインは、酒場の耐震性・地理的情報・店舗環境・店舗設備・顧客特性をWEB上で選択していくことで、それぞれの店舗により適したオリジナルの内容が生成できるということ。そのバリエーションは2,432通りとなり、これを無料で作成しダウンロードすることができます。

ガイドライン作成や詳細→お酒好きのための防災プロジェクト公式サイト

問題②「酒場のような騒音環境下で声が届きづらい」

ワイワイとざわめく酒場では目の前の友人の声すら聞こえづらいことは皆さんも経験があると思います。そんな中での避難指示などの声掛けは、気づきづらく、また伝える方も相当な労力とテクニックが必要になります。
有効な方法は、なるべく大きな声で、高い声を出すことが必要になりますが、地声で出せる限界もあり、それを踏まえ、日本音響研究所ノボル電気quantumと共同し、酒場のための防災用電子メガホン「キコエール」のコンセプトモデルを開発しました。

このメガホンは、実際の店舗での実証データの分析を元に、発生する声が酒場でも届きやすい3,500ヘルツ〜5,000ヘルツの周波数成分を有する高い声に変換し、これを使って、はっきりと短い言葉で伝えることで有効な声掛けを行うことができます。

このモデルは、機能はもちろん、防災用具だからとどこかに仕舞い込み、咄嗟のタイミングで無駄なタイムラグが起こさないよう、平時は、手に取りやすい場所にそのまま飾っていても内装に自然に溶け込みやすい、インテリアのランタンのようなデザインになっていることも特徴です。

現状、このモデルは耐久性や防水、防火対応についてはクリアできていないため、販売は未定となっています。ですが現在、こちらの無料貸出登録をスタートしており、酒場の実店舗でどんな効果があるのかを実際に試すことができます。

飲食店向け「メガホン」貸出し受付フォーム
※登録は12/4よりスタート。2026年1月中旬から無料で2週間ほどの貸出予定

酒場での席選び、専門家ならどうする?

酒場であれ、どこであっても、防災意識は誰かに頼るのではなく、それぞれが自ら意識を高めることが大切です。

今回のプロジェクトのアドバイザーである、備え・防災アドバイザー高荷智也氏に、防災の観点から心がける、普段の酒場で席選びや注意点について話を伺いました。

ー普段、酒場を利用するとき、どんなことを注意した方が良いでしょうか?
(高荷氏)飲食店でもし災害があった場合、直接命に関わると思われるものは、「倒れてくるもの」と「落下してくるもの」になります。例えば、大きな棚やお酒の瓶が並んでいるところなどはできれば避けた方が良いと思います。また、対策されているとは思いますが、例えば巨大な水槽などがあるとか、豪華シャンデリアの真下などは意識した方が良いと思います。さらに、メインの通路に近い方が、何かあったときに逃げやすいと思います。
ー飛行機では災害時に荷物を持たずに脱出することが鉄則のようですが、酒場ではどうでしょうか?
(高荷氏)火災の避難は1分1秒を争うことになるため、素早く逃げるということがとても重要です。ですが、例えば冬場に本当に何も持たずに逃げてしまうと、お酒を飲んでいる場合は凍死するなどのリスクが高まることも考えられます。そのため、お店側もその状況に応じて「服は着て外に出てください」「靴は履いて出てください」といったような声掛けをする、また、ご自身も心がけるということは大切になると思います。
ーその他、有効な防災方法などあれば教えてください
(高荷氏)根本的には、その酒場の建物が耐震性がしっかりしたビルであることで、それだけで地震対策の半分はできていると言えるほど、どんな建物であるかということが重要だと思います。利用する側もお店選びにそんなことを頭に入れておいたり、また、出店者の皆様が飲食店を出店するタイミングで、そういった安全性を充分に考慮していただくことが非常に有効な防災につながると思います。
もちろん、常に危機感を抱き続けなければならないということではありません。日頃の楽しい飲みの場でご自身の観察眼を鍛えることも楽しみつつ、防災意識を高めていただければと思います。

日頃の防災訓練の体験がみんなの命を守る

12月8日夜に発生した青森県東方沖を震源とした地震では、東日本大震災の教訓を生かし日頃から避難訓練を実施していたことで、発生時のみならず、その後続く余震でも素早い避難行動を実施できている、という報道も聞こえてきています。
「飲食店の皆様に貸し出して体験いただく方を増やしていくことで、各店舗においてどういった危険があるのか、どういったことをする必要があるのかというのを考えてもらうことが、まずは啓発の第一歩になっていければと思っております」と、ヤッホー広め隊のジンこと渡部翔一さん。
ヤッホーブルーイングが各事業所で年に1回実施している防災訓練の実体験も今後も活かしていく予定とのことです。

ヤッホーブルーイングで実施している防災訓練の様子

災害は、自宅や職場にいる時に遭うとは限りません。
これからの笑顔の乾杯を安心して楽しむため、安心して楽しんでもらいたいために、みんなで防災意識を高めていきましょう!

ヤッホーブルーイング 飲酒者向け防災啓発プロジェクト「お酒好きのための防災プロジェクト」始動

ヤッホーブルーイング北海道文教大学日本音響研究所防災

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

宮原 佐研子

ビアジャーナリスト/ライター

ビアLover 宮原佐研子です。 ビールの大好きなトコロは、がぶがぶ飲める、喉ごし最高、大人の苦味、世界中でも昼間でも飲める、 果てしなくいろんな味わいがある、そしてぷはぁ〜っとなれる、コトです。
ライターとして、書籍『全国203ブルワリー集合!ビアEXPO公式本 日本のクラフトビール巡り』/書籍『園田智子のテッパンおつまみ』/雑誌『ビール王国』(ワイン王国)/『じゃらん酒旅BOOK』(リクルート)/『うまいビールの教科書』(宝島社)/『クラフトビールの図鑑』(マイナビ) など

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